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3-54.「5日目の朝も赤系色のドレス」

 1日振りの起床の為瞼を開ける。

 視界にはローザが。サーシャが。ミゲルが居て婆やが居る。


「「おはようございます。殿下」」


「おはよう」


 俺の起床にいち早く気付いたのは、いつも通りベッドの両脇に座るローザとサーシャだ。


 彼女達は流れる様にベッドから俺の身体を起こし、顔と身体を軽く拭いた後に着替えまで済ませる。

 ミゲルの持つ黒色の上着を羽織り、サーシャに命じてテーブルの上に置かれた輝く無色透明の宝石が込められたネックレスを付けさせる。


「これはリズとお揃いで買ったネックレスだな、中々に良い出来ではないか。昨日の夜に届いていたのか?」


「はい。昨晩、リズ殿下のものと合わせて商会の者が届けに来ました。指輪もございますがお付けになられますか?」


「不要だ」


 あまりに大きな装飾はただ行動やその容姿の邪魔になるだけ。

 俺の顔や身体は飾りなど不要な程美しく、動きが制限される装飾品を付ける必要はない。


 ちなみに、王族及び王城で働く者は大体顔立ちが整っていて美しいor格好良い。コレは城下に降りた時に比較して思った感想だ。


 部屋を出た俺はガーベラ王女の部屋に向かい、セルフで行われるダンのガーベラ王女を呼ぶ手順をただ待つ。

 扉が開けば、ピアノのキーカバーの様に赤いクリムゾンカラーのドレスに身を包んだガーベラ王女がいる。


「おはようございますジークエンス様」


「おはようございますガーベラ様。さあ、朝食に参りましょう」


 俺は連日の通り彼女の右手をとり、食卓の部屋までエスコートする。


 ガーベラ王女は赤色が好きみたいだから、ドレスの色が連日赤系色ばっかりでも驚かない。というか慣れた。


「このドレスもガーベラ様に良くお似合いですよ」


「ありがとうございます。このドレスは先日リート・モルガン陛下とセシリア様に戴いたドレスの一つでして、ドレスを選ぶ際にセシリア様からも良く似合っているとお褒め頂いたんものなんです」


 彼女のドレス自慢はどこか誇らしげだ。

 まあ、大国の第一王妃であるセシリア母様に褒められたドレスで身を包んでいるのが嬉しい。という気持ちなら分かる。


 でもそんなドレスが綺麗というより、ガーベラ王女の美しさがドレスによってより際立っているって感じだ。

 朝から落ち着いたそのクリムゾン色が、彼女の淑やかさを上げている。


 俺的に言えばどのドレスも似た様な感想になるが、俺が普段ドレスを身に纏っている女性達よりドレスの善し悪しが分かる訳ではないのでしょうがない。


「そのドレスに身を包むのは綺麗ガーベラ様ですから、貴方がより美しく思えますよ」


「あ、ありがとうございます……」


 ドレス単体ではなく、着用したガーベラ王女の評価となれば言語表現も多様化すると思うけど、ガーベラ王女は赤系色を多く着るから『赤い髪が重なりまるでドレスと一体化したかの様に美しい』みたいな感想が多くなる。4割くらいがそんなだ。

ーーまあ、綺麗な事に変わりはないけどね。



 ゆっくり歩きながら食卓に向かっていた俺たちは、ほんの数分でその部屋に到着する。


 今日もいつも通りの時間に来たはずだが、俺達以外の全員が集合していて俺たちが最後の二人だった。





 昨日の夕食はコース料理だったが今朝の朝食はいつも通り、皆の好みの料理が出されその料理中心に食べるスタイル。


 だが優秀な料理人達の存在に母様達が普通に食べる野菜と、栄養のバランスは悪くない。

 いや寧ろ、食材の品質や調理法から考えてこの国最高クラスに良いだろう。


 などと、たった数回しか見たことのない他の王都の民の暮らし振りを想像する。


「ジーク。貴方はこの後陛下の部屋に行きなさい」


「分かりました」


 食後のティータイムを楽しむセシリア母様からの言葉だ。


「今日も美味しかったわね。さあ戻りましょう」


 今度はステイシア母様の言葉で食事終了が告げられたので、

 俺はガーベラ王女の手をとり、早速彼女の部屋に戻るため歩き出す。


 このまま彼女を部屋まで送り、その後は父との大事な話が待っている。

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