表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/343

1-13.「許嫁が来る前に」

 あの後、ハルト兄が来てすぐに食事を始めた。

 今はみんな食べ終わり、紅茶を飲んでいる頃だ。


 ちなみに出てきたメニューは昨日と同じ。変わりばえのない。



「モナークとジークは、姫さま達が来る前にお体を洗ってきたらどう?」

「私はもう入ってますよ。ジークだけで行ってきたらどうだ?」

「モナークは準備万端ね。さっきの姫の話も、聞けて良かったわ」



 昨日は、疲れからかそのままベットで寝てしまった。

 何があって何がないのか、俺にはまだよく分からないのが、体を洗い流せる風呂があってよかったよ。

 モナーク兄は準備万端だった。



「いいかジーク。エマの婆やにも言っているが、時間になったら外に出て来い。門の前で陛下と一緒に王女殿下たちを待つ予定だ」

「はい」



 そんな訳で、体を洗ってからモナーク兄と一緒に、城の門で姫2人を待つことになった。



「アシュレイもハルトも、勿論門の前ね。2人が城に入るまででいいから」

「はい。母上もですか?」

「えぇ。でも、今日はその後やる事がなくて暇でしょう? 今日2人の剣技と魔法を見せてもらう事にするわ」

「「分かりました!」」



 姉も兄も、母に見てもらいたかったのか、返事の威勢がいい。

 俺も2人の剣技と魔法は見てみたいから、またお願いして見せてもらおう。



「美味しかったわ」



 母の食事終了の言葉で、俺たちは部屋を出て部屋に戻る。





「では殿下、あまり時間もありませんし体を洗いに行きましょう」


 部屋の前まで戻ってきて早速、婆やがそう言った。

 そして早速、婆やと一緒にお風呂に向かう。部屋まで来た道とは反対方向を進み、階段を降りる。

 あれ? 一階にあるなら食卓の部屋から直接向かえばよかったじゃないか。

 まあ、道が覚えられてよかったよ。





 浴室の扉の前で、メイドと執事に服を脱がされる。


「入りましょう、殿下」


 そう言った婆やと、一緒に風呂に入る。

 婆やはメイド服を脱いでおり、黒の柄のない服を着ている状態だ。

 入ったのは4人で、俺と婆やとメイド服を着たままのメイドと、執事。

 メイドと執事は、扉の前で起立したまま何もしない。


 婆やが、俺の体を洗う。

 まあ、子供の体は小さいので体を洗うのも、すぐ終わる。

 洗うと言っても、上部から降ってくる水で流しながら婆やが手で優しく洗う。だけ。


 そして『下に水を出している機械』が見た目シャワーだ。

 長方形に開けられた、小さな穴から水が出でくる。



「終わりましたよ」



 全身くまなく洗ってもらった。

 婆やは慣れているらしく、全然痛くなかった。

 俺のような子供の肌は、柔らかくて、すべすべ敏感肌だから、婆やの洗い方が上手いんだろう。



 子供用の用意されている小さい風呂に、婆やにお姫様抱っこで入れてもらう。

 ぬるま湯くらいの暖かさだけど、久しぶりだったのか気持ちがいい。


 あ俺が入っているのは、幼児でも足がつく子供用だけど、浴室にはこれの何倍も大きい風呂がある。

 こんなに大きいのは沸かすのが大変だろう。


 でも、シャワーもあったけど何で動くんだろう。手動か、それとも何か便利な魔法なのか。

 魔法がよく分からないから、なんでも便利に魔法で解決できるのか気になる。



「なあ、アレなに?」

「アレは、シャワーです。何代も前の王配様が作られた品の一部とされています。かなり凄い魔法の道具ですね」

「王配って?」

「女王陛下の旦那さまのことですね」



 シャワーだった。

 それを、昔の女王の旦那さんが作ったのか。     

 便利な道具だな。





「では、上がりましょうか」



 肌が柔らかいからか、子供の肌はすぐにふやける。

 そして婆やに風呂から出してもらった。

 扉の前にいたメイドが大きなタオルで俺の体を拭いていく。


 ちなみに、扉の前は全然暖かくない。

 これも魔法の品か、メリアスが使っていた様な魔法な気がする。


 風呂を上がり、またメイドに服を着せられる。

 さっきと同じ服だが、綺麗で真新しい。

 新しい服を用意した様だ。





 風呂から上がった後、部屋の椅子に座って時間が経つのを待っていると、執事から『城の門の前まで来る様に』伝えられた。


 2階から、中庭と反対方向に進み、照明が不必要な朝が明るい廊下を抜ける。

 すると、横にも縦にも広い階段が中央にあり、今までで1番綺麗な飾りがされている玄関広間に出た。


 階段の途中には踊り場があり、階段を降りた広間には沢山の執事とメイドがいる。


 そして、大人数人分サイズの扉が開かれる。

 外には、王である父とモナーク兄。 そして沢山の商人たちが立っていた。


 モナーク兄の近くには、小さなくらいのメイド、執事、剣を下げた子がいた。

 大人ばかりだと萎縮するからか、専属の部下か。

 俺も将来できるのかな。それなら欲しいな。


 ちなみに階段は、怖かったので婆やの手を取った。

 身長が低くて下が見えないから怖いんだ。しょうがないよね。



 玄関前の白い階段をおり、婆やと一緒に王とモナーク兄の元に向かう。

 俺の許嫁か。

 兄も会うのを楽しみにしていたけど、

 俺も、出逢うのが楽しみだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ