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3-48.「オークション2日目ーー終了」

※前話(3-47)を少し修正しました。


 オークションに出品される宝石は、その大きさと値段をドンドン上げていく。

 さっきまでは手の平サイズの装飾品の競売だったのに少しずつと宝石は大きくなり、しまいにはその宝石の比較対象が人間になる程だった。


 そんな巨大な宝石は勿論高価だ。

 ある一定の大きさからは金貨千枚スタートとなり、それを巡り数人の金持ちの競り合う。正直原石の質は先のアクセサリーと比べれば劣るが彫刻は変わらず素晴らしい。

 そんな宝石の置き物争奪戦は3種類行われれば次は最後の商品。マリク・パディロッサ作『新竜の卵』が運ばれてくる。



「こちらイルシックス王国の技巧師マリク・パディロッサが製作しました、作品名は『新竜の卵』と言い第2部最後の商品となります。こちらの品は金貨1500枚から始めさせていただきます!」



 作品名『新竜の卵』は、商品紹介の時は安全面を考慮して紹介されなかった宝石メインの第2部後半のラストを飾る宝石だ。


 『新竜』もその卵も俺は見たことがないが、『新竜の卵』という宝石は2メートルを超える大きな卵を模した宝石を台代わりの原石が支えている。ってな作品だ。

 卵の部分だけに彫刻が施され、その周りは手付かずに見える。まるで岩山の頂上に置かれているイースターエッグな恐竜の卵みたい、そんなイメージ。


 離れていても見て分かる原石の質の高さと、単純な彫刻の素晴らしさ。他にも製作者の名前に今日の押し商品補正などからか。

 この宝石目当てに10組以上がオークションに参加し、ただ今金貨1580枚で競われている。


 まあしかし、これ以上買う気も金もない俺達には関係ない競りだ。

 今後これ以上残っててもやる事ないし、これを観戦したら第3部の開始を待たずに王城戻りたいし。


 右手に持っていたティーカップはソーサーの上に戻して「互いにムキになっているのかな?」と思う程の価格上昇を起こしている階下。

 少し身を乗り出して、今現在金貨2000枚の域に入りまだ上がり続ける競りを観戦中。

 残り2組となったが未だ価格は上がり続ける。そして……



「他に金貨2310枚以上を提示される方はいないようですので『新竜の卵』は5番の方の落札とーー」


「金貨2500枚」


「ーーはい、分かりました。金貨2500枚以上を提示される方はおられないようですので『新竜の卵』は5番の方の落札となります」



 最後は番号札8番と金を積み重ね合い続け金貨2310枚で落札できた5番の人は、何故か最後の最後に金貨190枚上乗せして落札した。

 切りのいい数字にしたかったのか。よっぽどマリク・パディロッサのファンなのか。そんなにこの国に金を収めたいのか知らないけど、会場が静かに騒ついている。

 ちなみにそんな変な金持ちはこの部屋から確認出来ない。単数番号だったし、俺達と同じく個室から参加しているのかもしれないね。



「これをもちまして王都オークション2日目第2部を終了とさせていただきます。

 本日最後になります第3部では希少な薬品や特殊な薬品が多く出品されますので、しばらくの休憩で英気を養って下さい」



「戴いた金貨も尽きてしまいましたし第3部は観覧せず、城に帰りましょう」


「分かりましたお兄様!」


「分かりましたジークエンス様」


「そうね、そうしましょう。オークションで売られる薬品なら全て城に居ても手に入りますから」



 オークションで今日1日の軍資金の2倍以上を使い切り、残金がマイナスに突入している俺はどれだけ買いたくても買えない。第3部でそんな商品を1時間以上眺め続けるのは流石に辛すぎる。

 更に既製品の薬品なら王城で手に入るので、もうここに残る意味はない。


 俺とリズ、ガーベラ王女、アシュレイ姉様は貴賓席から立ち上がり、深々と頭を下げる会場付きのメイドを軽く労い部屋を出る。

 その後オークション会場特有の光が差し込まない、照明だけが薄明るい廊下階段を抜け外に。

 少しずつ目が慣らされる仕様があった事に驚きつつ、俺達は来た時と同じメンバーで同じ馬車に乗り込んだ。

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