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3-40.「参加できなかった。1日目の売れ残り品」

 マグヌスが説明する売れ残り商品だが、その中には王城でも見た事読んだ事のある物がいくつかあった。

 『俺も読んだ事のある素晴らしい本が昨日売れ残ってしまった理由がもしあるとすれば、あまりに有名で誰の家にでもあるのか、値段設定が高過ぎたかの二つが考えられる』なんて思いながらマグヌスの説明を聞き流す。



「こちらは東方をラグスティス王国より取り寄せました、国内で有名な小説となります」



 そして3冊。読んだことのないこの本は東方の国から。

 俺は手袋をはめた手でペラペラと捲って文字は読めそうな事を確認。だが恐らく城にはあるだろうし個人用にいるかと言われればNOだ。要らない。

 けど興味はあるし城に帰ったら探してみようかな? 一冊ずつなら持って領地へ行っても構わないだろう。



「昨日のオークションでは騎士や探索者の使う実践的な剣や盾が多く出品されておりました。

 中でもこちらの剣は、殿下が使われる白羽の剣と比べますと強度も斬れ味も遠く及びませんが、かなりの業物です」



 その剣は特殊能力もなければ、飾り物としての見栄えの良さがある訳でもない。そして戦闘用の武器というなら俺には『白羽の剣』がある。

 つまり、そんな低スペックの片手長剣を買う必要はないって事。似たような剣も城に置いてありそうだ。マグヌスは何故コレを紹介したのか。

 でも、ココには並べられていないが『刀』なら買いたいと思っている。



「『刀』は残っていないのか? あるのなら落札を考えるのだが」



 直接マグヌス(+さりげなく商会職員)に売れ残りがないか聞いてみる。

 後ろの木箱にはまだ、売れ残り商品が残っているだろう。


 極彩色抜刀術を振るう時に使っている得物の刀。俺がいつも使っている、刀身と鞘の色が黒い刀はセルバータ王国産で予備は5本しかない。

 しかしそもそも刀は国内での生産が難しいので、オークションに出品されていたら落札されているかもだがどうだ?



「申し訳ございません。昨日『刀』は数点出品されたのですが、全て落札されております」


「そうか」



 残念ながら無かった模様。

 ーーしかしまあ俺が今使っている刀もかなりの業物なんだ。その刀がポキポキ折れてからストック補充すれば良いさ。


 その後紹介された盾や槍やらは、俺が基本的に使用しない武器なので必要ない。

 その他金貨二桁単位とお手頃価格の宝石は、この後のオークションにかけられている品の方が良い品だから要らない。

 『これぞまさに異世界!』な回復アイテムのポーションがあったけど、どれだけ物が良くても俺には使い道がないので買わない。


 これら商品の推定金額を考えれば、昨日行われたオークション1日目のメインターゲットは今日のように貴族などの金持ちではなく、そこそこの金を持つ探索者だったのだろう。

 しかし金持ちが多くなかっただろう昨日のオークションで、売れ残り商品が木箱20つ程とは盛況してたのだろう。



「殿下のお気に召す品はないようですので、こちらで別の商品を紹介させて頂きます」



 アシュレイ姉様にガーベラ王女にリズ。俺を含めて昨日の残り物に欲しい物はなかった。と察したマグヌスは、いくつかの商品の説明を終えると次の部屋へと誘導する。


 父様との予定があるから明日のオークションには来れない俺だ。

 「別の商品を紹介する」とか言っているけど、次は何を紹介してくれるのかな?





 前世。俺の生まれ育った国の照明は、夜でも昼かと思わせる明るさがあった。しかしこの世界ではそんなに明るく照らさない。

 この国一般的な照明の明るさがあるのだ。


 しかしその明るさよりも淡く暗く、しかも窓から光が入らない廊下。

 会場の廊下はそういう趣が、雰囲気がある。

 そんな廊下を進み、マグヌスは先と似たような部屋のドアを開いた。


 内装は木箱の量がさっきより多い30個程あるだけで、それ以外変わりはない。

 男女数名の商会職員に積まれた木箱。商品を置く台があって、その上には商品が置かれている。



「ジークエンス様がオークションに参加されるのは今日一日だけだと、私たちは聞いております。

 ですので、価格は少し高くなってしまいますが明日のオークションで売り出す商品の一部を今、紹介したいと思います」



 明日のオークションに参加できない事をどこで知ったかは分からないが、3日目の商品の一部を俺に紹介してくれるらしい。時間の無い俺に対する措置が嬉しいな。


 早速商品が置かれる台まで進み、解説の姿勢に入るマグヌス。

 残り金額が金貨220枚なのは一応加味して、足りなければ王家から追加で出して貰おう。

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