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3-37.「会場でほんの4日振りの再会」

 ベッドの頭方向から見て手前からアシュレイ姉様、リズ、俺、ガーベラ王女の順で一列に座っている俺たち。

 元々は、ウトウトと眠たそうだったリズを横にする為に座らせたのだが、アシュレイ姉様とガーベラ王女も流れる様に横に座った今。誰も喋らないからか静かだ。


 そんな俺たちの元に俺のメイドのローザが歩み寄って来た。



「アシュレイ殿下、ジークエンス殿下。エルモパール商会よりクラウディア様とマグヌス様が殿下方に御目通りしたいと。入室させて宜しいでしょうか?」


「入ってもらってくれ」



 クラウディア母様とマグヌスが来た?

 いや、確か司会のネクローマルはエルモパール商会の者と名乗っていたし、マグヌスはこのオークションを楽しみにしていたので、母様たちがオークション会場に居るのはおかしくない。

 そして俺たちが貴賓室にいると知れば、挨拶に立ってくるだろう。


 先のベッドに座ってからの無言の時間経過は一分も経っていない。

 そこでウトウトと眠たそうだったリズの眠気を覚ます。



「眠たいならベッドで寝ていてもいいぞ?」


「いえ、もう大丈夫です!」



 眠たそうだったけど、今は元気いっぱいのリズ。

 母様とマグヌスを迎える為に立ち上がった俺は、妹のリズを茶化しながらローザに身嗜みを整えさせる。


 この貴賓室には当然の様にテーブルと椅子が用意されている。

 俺とアシュレイ姉様がクラウディア母様とマグヌスが座る席の対面位置に座り、ガーベラ王女とリズは俺の横に座る。

 席は左からガーベラ王女。リズ。俺。アシュレイ姉様となっている。


 目配せしてくるローザにGOサインを出して、扉を開けさせる。



「お久しぶりですクラウディア様、それにマグヌス。こちらの席にお座り下さい」



 義理とは言え。息子としてまずは相手が発するよりも早く挨拶。

 扉が開かれ、カーテシーの為にドレスを摘んだ母様と左胸に手を当てたマグヌスは、この俺の行動に驚いているようだけど。



「御無沙汰しております殿下。本日、殿下方が会場に参られていると聞きご挨拶に参りました」


「ありがとうございます。それでは御二方ともこちらに座って下さい」



 カーテシーをしてから繰り出されるクラウディア母様の丁寧な言葉遣い。

 本来なら俺が遣うはずの言葉遣いだが、事情を知らない使用人が同じ部屋に居るからか母様はその硬い敬語。

 だとしても俺が王子らしく偉そうな態度をとるのは違うので、俺と母様はお互いに敬語だ。


 母様とマグヌスを席に案内するローザとセレノン及び部屋にいるメイド達やガーベラ王女が、俺の発言とその態度に動揺してるのが見て取れる。

 俺はこの口調で喋り続けるつもりだし母様にはもっと柔らかな口調で喋って欲しいし、会話を聞かれない様に先程家名を告白した時と同じ魔術をかけようかなぁ? でもそれでも、アシュレイ姉様やガーベラ王女にリズにバレてしまう事になるから駄目だな。



「いえ、そこまで気を回される必要はありません」


「座って下さい。ちょうど私達も時間を持て余していましたから、少し話し相手になって欲しいのです」



 俺に続いてアシュレイ姉様も敬語を使った。

 これには俺も含め、部屋に居る全員がビックリ。『姉様もクラウディア母様の事を知っているのか?』と姉様に視線を向けると姉様と目が合った。

 ーーそうか。いつ使われたか知らないが、神通力の他心通で俺orクラウディア母様orマグヌスの心を読んだのか。

 まあ流石に俺の心を読んだのだろうけど。



「分かりました。では御一緒させて戴きます」


「私も同席させて戴きます」



 アシュレイ姉様の言葉と俺たち4人に、一礼の後に席に着いた母様とマグヌス。


 先は動揺していたが今はしっかりと務めを果たしているメイド達。

 ローザ、セレノン、アリスの3人が紅茶の入ったティーカップと茶菓子としてクッキーやフィナンシエ、マドレーヌを出す。

 招かれた側としては先に食べてくれないと食べにくいだろう。と思い、安全点検済みの紅茶を一口含んだ。


 さて。

 結局会話はシャットアウトしない事にしたのでクラウディア母様を母様として接する事は出来ないとして……母様とマグヌスの二人と何か話せるかな?

 俺的には母様とマグヌスはこのオークションには詳しいだろうから、食材のオークションの終了時間とそれまでの時間を潰す方法を教えて貰いたいな。話す話題があれば会話を楽しみたいけど。

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