表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/343

1-11.「1日目の終わり」

 食卓の部屋の扉が開かれて、俺ら子供たちは椅子に座る。



「でも良かったわね。私たちは成人するまで、貰えないかと思ってたわ」

「でも兄さまが王権を使っているところを見たことがないですね」



 朝食と同じ席にそれぞれ座り、さっき与えられた王権の話をしている。



「ああ。誰も、私の言うことに反対しないからな。使う機会がないんだ」

「あ……私もそうですわ」

「まあ、どっちにしろ成人まで使う機会はそう無いだろうさ」



 モナーク兄がそう言い、この話は終わる。





 部屋にいた使用人が扉を開け、父と母が入ってくる。

 母はさっきと同じドレス姿なのだが、父は上着を脱いで、さっきいた神殿よりも軽い格好になっている。


 2人が椅子に座る。

 ちなみに場所は、父が長い食卓の一番奥で、父から見た左側にモナーク兄、ハルト兄、自分。右側に母、アシュレイ姉となっている。


 そういえば父は、セシリアとステイシアって2人の名前を出していた。

 モナーク兄よりも立場が上な人物。恐らく母だろうけど、2人目の母親には会ったことがない。母親じゃなくて兄弟とかなのかな?


 朝と同じように執事が、皆の前に食事を運ぶ。夜ご飯はステーキにスープ、パンと全員が同じ食事だ。



「それでは頂こうか」



 父がそう言い、皆が食事をとり始める。

 朝と同じで俺の食事は、他の兄弟よりも量が少なめだ。まあ全部食べ切れる気はしないが。



「ジーク、ステーキの食べ方はわかるか?」

「フォークで抑えながら、そのナイフで切るのよ。ジークのは薄いから切りやすいわよ」



 兄と姉の通りにステーキを切り、食べてみる。

 まあ、すごく美味しい。何の肉で、何のタレでなんて分からないけど、やはり一流の料理人が作ったんだろう。さっき分かった自分の地位と、コレの美味しいからそう判断する。

 スープはコーンスープだった。スプーン1つで食べるには少ない量だけどお腹はいっぱいだ。

 ちなみに、ハルト兄は1口しか食べていない。このスープは嫌いなんだろう。

 ついでにパンも美味しかった。



「美味しかった」



 父が食器を置き、そう言った。

 父の言葉に反応して執事が食器を片付けだす。

 食事終了の合図みたいだ。





 食器が片付けられ、皆紅茶を飲みながら寛いでいる。



「モナーク、ジークエンス。明日、お前達に来客の予定だ」

「はい。覚えています」

「イルシックス王国の王女達が来る。私も話がある、お前達は王女と話をしておけ」



 メリアスが言っていた『明日来る予定の客』って、他国の王女の話だったのか。

 てっきり、新しい先生とか、偉い役職の人かと思ってたよ。



「2人は同い年のお前達の許嫁だ。仲良くしているんだぞ」



 ま、まさかの許嫁。この歳でいるだなんて。

 ということで明日、許嫁と出逢うことになった。





 明日の予定を話した後、父親は立ち上がる。

 同じように椅子を引かれ全員が立ち上がり、部屋を出る。



「私は仕事をしてから戻る」

「はい。ステイシアさんの所にも、顔を見せに行かれるのですか?」

「そのつもりだが」



 父は、部屋に戻る皆と別れて歩いて行った。


 ステイシアさんは誰か分からないが、母はセシリアと言う名前なのだろう。父と話した後の母は少し嬉しそうだった。





 部屋に戻ると疲れていたのか、急に頭がふらふらしてきた。幼児の頭で色々考えすぎたのかな。それとも初めての環境だからか。


 もう今日はそのまま布団で寝よう。

 そう、ふらふらしながらベッドに向かう俺の手を、誰かが取る。



「大丈夫ですか、殿下!」

「ん、つかれた……」



 手を取ったのは婆やだった。後ろからついて部屋に入った婆やが俺の手を取ったのか。



「そうでしたか。初日でしたからね。ですがまずは寝間着に着替えていただかないと」



 着替えると言っても、着替えを行うのはメイドたちだけだ。入って来たメイドが俺の服を脱がせて寝間着に着替えさせる。

 着替えが完了した俺を婆やがベッドに上げて、布団をかける。



「おやすみなさいませ」



 着替えをさせたメイドは部屋から出ていき、婆やはベットの傍らに置かれた椅子に座りながら、……明かりは消えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ