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第2話 ヒロイン降臨


翌日――

またお兄様がお茶に誘いに来て下さいました。


「アリッサ。今日はガーネットも一緒だよ。」

ガーネット様のお話をする時のお兄様はとても幸せそうで私も見ていて嬉しくなります。


「ガーネット様ともなかなかゆっくりお話ができないので嬉しいわ!」


ガーネットは今、花嫁修業として王族に必要な様々な知識やマナーを習得するのに忙しいようだ。


町娘から王子様の元へ嫁ぐのだから、仕方がないが成長してから様々なマナーや知識を勉強していくのは大変だろうと思う。

そういう裏設定的なものはゲームでは飛ばされてしまうからなあ。


とガーネットの苦労を考えながら中庭に到着した私達は遠目にアルベルトとガーネットを見つけて、一瞬足がすくんでしまった。


そこには焦げ茶色の髪を清楚に纏めたガーネットが頬を染めて茶色の潤んだ瞳でアルベルト様を見つめていからだ。


ん?あれ?



しかしそこはお兄様。素知らぬ顔で声をかけた。

「待たせたね。アルベルト、ガーネット。」



「ユハルテット!アリッサ姫!」


私達を見つけたアルベルト様はすくっと立ち上がると駆け寄ってきました。


「アリッサ姫。お手をどうぞ。」


と私に手を差し出して下さいます。

私は頬を染めて「ありがとうございます。」と言ってアルベルト様の手を取りました。


アルベルト様が私をエスコートしてくださるなんて!と喜んでいると――ん?んんん?なんかガーネット様が怖い顔をしてこちらを見ている……?


「ガーネット待たせたね。」

お兄様が話しかけるとガーネット様はすぐにニコリと微笑み

「いえ、アルベルト様とお話していたのでちっとも退屈ではありませんでしたわ。」

と優しい笑顔をしておりました。そして……

「アリッサ姫様お久しぶりでございます。」

と私にも優しい笑顔を向けて下さいました。

私の気のせいだったのかしら?

「ガーネット様。お久しぶりです。」




それからは楽しくお喋りしながらお茶を頂くのだけれど、なんだかガーネット様がアルベルト様の方をチラチラと頬を染めてみておられます。

私の思い違いなら良いのですが、これは……



ガーネットもしかしてアルベルトの方が好きなんじゃね?


おい!どういう事だ!?ガーネットはお兄様ルートだろーが!?なんだってアルベルトに恋し始めるんだよ!!





私は部屋に戻ると昨日書いた乙女ゲームの内容を再度確認する。

アルベルトルートとかいてある所には実家の花屋に町をお忍びで歩いていたアルベルトが来て出会うと書いてあった。時期はお互いが10歳の時。


ん?10歳の時?ってことはアルベルトが王族のパーティーに来たときか?


でも10歳で出会った後はアルベルトが再びお忍びでこの国へ来るまで会わないのよねー。


他の攻略対象と違いアルベルトの場合は他国の王子様のため接点が異様に少ない。

この10歳の出会いの時にアルベルトに一目惚れしてもらい再度この国へ一目惚れの相手に会うためにお忍びで来てもらわなければ進展はないのだ。攻略するには超高難度のキャラであった。


そして、お兄様とのルートが成立しているところをみるときっと10歳の時にアルベルトに一目惚れしてもらえなかったのではないのか??


それがどういう事だ?もしかしてアルベルトはガーネットに再び会うためにこの国へ今、来ているということなのか?


その場合、どうなるんだろう……。もし、ガーネットもアルベルトの方が本当は良かったとすればお兄様ルートをやめてアルベルトルートへ変更するのか?というか出来るのか?


でも、ヒロインが本気出してアルベルトルートに変更しようとすれば出来なくは無さそうだよな。ドキドキイベントが起こるかどうかは分からないけど……。


コンコン


その時私の自室のドアを叩く音がした。

「はい。」


侍女のフルーラが姿を現した。

「失礼致します。アルベルト王子が晩餐の、お食事をご一緒したいと申されておりますが、どうされますか?」


「是非ご一緒致しますとお伝えして。」


「かしこまりました。」


アルベルト様は私と晩餐をしたいなんてどうされたのかしら?私としては願ったりかなったりだけれど……。




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