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第13話 女の友情

部屋に戻るとガーネットが私の部屋に来ていた。


「ガーネット様!!やっとお兄様の部屋から出て来られたのね!!もう!!たくさん話したい事があったのよ!!親友のあなたと自由に会えないって辛いわ!!」


「は?え?親……友……?」


「あ、ごめんなさい。親友は嫌だった?でも私はガーネット様の事、1番何でも話せるお友達だと思っているわよ。」


「あ……う、嬉しい……」

ガーネットはウワーンと泣き出した。


「え?どうしたの!?ガーネット様!!」


「私、前も友達いなくて、下町にいた頃も貧乏だからってバカにされて同性の友達って呼べる人がいなかったの。だ、だからアリッサ様と話すのはとっても楽しくて、嬉しくて……いつかお友達になって欲しいってお願いしようと思っていたの……!!」


「そうだったの!?私達もう友達じゃない!!だってこんなにたくさん何でも話せているでしょ?」


「そ、そうね。ありがとう!!」


「こちらこそ、ガーネットが居てくれて良かったわ!!ありがとう!!」


私達はお互いの手を取り合い微笑み合う。

そう、この乙女ゲームの世界を共に楽しみながら生きていきましょう!!と私達は目で会話した。


女の友情を再確認した所で、二人でソファに座りながら話し始めた。フルーラはお節介なくらい気の利く侍女なので、お茶とお菓子を用意すると他の仕事があるからと部屋を出ていった。



「ところで、昨日からずっとお兄様のお部屋にいたんでしょ?お兄様の方は上手くいってるね!」


「え、あ、う……ん。」

急に頬を染めてモジモジし始めるガーネット。


「え?もしや??」


「ち、違うわよ!まだそんな関係ではないわよ!ユハルテット様も結婚式が終わるまでは何もしないと仰って下さったし。」


「コホコホ!」


「ほう。仰って頂くような何かはあったのね。」


「おっほん!」


「もう!やだ!!アリッサ様ったら!!」

赤い顔を両手で隠してモジモジするガーネット。


お!なんか満更でもなさそうな感じ!てか、こう見ると普通にお兄様に恋しているように見えるんだけどなー。まだ、アルベルト様が好きなのかなあ。

ってかお兄様、絶対ガーネットがアルベルト様の事、好きなの気付いてるよなぁ。

私が気付いたんだ。あの腹黒王子が気付かない訳がない!


「うえっほん!」


「もうさっきからリッカルの咳払いがうるさい!!」

私はリッカルを睨み付ける。


「お前ら俺がいるって分かってるか!?何で、そんな話すんだよ!!」


「だから私は女同士の話だから付いてこないでってさっきも言ったでしょ!!そっちこそ、気を利かせてそっと部屋を退出するくらいしてよ!」


「な!?お前達がそういう話しなきゃいいだろ!?」


「私はそういう話がしたくてガーネット様と話してるの!!勝手に居座って女同士の話にケチつけないでくれる!?今からもっと秘密のお話をするんだけど、あなたはまだ、ユハルテット王子とアルベルト王子の婚約者の込み入った話を聴くつもり?王子達の耳に入ったらどうなるかしらね。」


「くっ!――部屋の外で待つ!!」

悔しそうに顔を歪めてリッカルは扉の方へ向かった。


バタンと扉が閉まってリッカルが部屋を出たのを確認するとガーネットが話し始めた。


「なんか、リッカルってアリッサ様には全然、歯が立たない感じね。私のイベントの時はもっと態度が大きかったのに……というか公式ではチビの年下ツンデレ眼鏡じゃなかった?」


「そうなのよね。でも、リッカルとは昔からあんな感じだったから、前世を思い出したからってそこまで変わらないのよね。むしろ公式設定はツンデレ眼鏡じゃなくてヘタレ眼鏡に変えるべきよ!」


「あー!!ピッタリね!!」


私達はひとしきりお腹を抱えて笑ったあと


「そういえば、リッカルのイベント発生させていたわよね?結構好きなキャラだったの?」


「眼鏡男子は好きだけどゲーム内の攻略キャラランキングでいうと下から二番目よ。でも一応保険で。ほら、他の攻略対象と結婚できない場合ザッシュと結婚になってしまうでしょ?そんな貧乏から抜け出せない平民ライフはゴメンだもの!!」


ザッシュというのは赤毛で鼻にソバカスがある

ガーネットと同じ下町育ちの18歳。このゲーム攻略対象の中で唯一、顔がイケメン風なだけの微妙顔で、ガーネットの幼馴染みだ。

ザッシュは元々ガーネットが好きなのでゲーム開始時点で好感度は90%。

彼とのルートには身体を張ったドキドキイベントはないが結婚後も平民貧乏ライフ。他の攻略対象と結婚できない時には必ず彼と結婚する事となる。ちなみにシュトラスト王国へ移住した場合のみ一生独身の平民スローライフとなる。


「そうかあ。でも、それならカルロス様のイベントを発生させておいた方が良かったんじゃないの?」


「ええ。本当はリッカルよりもカルロス様が良かったんだけど、ほら木から落ちてさらに怪我を増やさないとだし、何より毒味係イベントを発生させたくなかったのよ。」


「なるほど。というか、昨日は本当にごめんなさい。無理をさせてしまって。」


「良いのよ。こちらこそ、せっかく準備してくれたのにイベントを起こせなくてごめんなさい。」


「い、いえ。良いのよ。気にしないで!!」

私が起こしちゃったけどねー!!


「あ、でもカルロスの事はユハルテット様付きに戻して頂いたわ!」


「あ!!ガーネットがお願いしてくれたの!?ありがとう!!でも、どうやって!?」


「今回の事はユハルテット様とカルロス様を仲直りさせるために私とアリッサ様が計画したことだって話したの。仲直りしないならまた、別の事をしますよって!言ってやったわ!」

ガーネットはフフッと笑った。


「へー!」

やっぱりお兄様はガーネットと私には甘いな!


「カルロス様を異動させない代わりに条件を出されたけどね。」


「え!?」

さすが腹黒お兄様!!


「必ず、ユハルテット様と結婚すること。どうやら、私がアルベルト様の事、気になっているって気づいていたみたいで。」


「あーそうね。」

やっぱり気付いてた。


「いつもより強気な感じでグイグイくるのよ。有無を言わさないって言うか……。」

そう言って、ガーネットは再び頬を染めて視線を逸らした。


「あー腹黒出してきたのね。ガーネットのその反応はグイグイ来られるの嫌いじゃないわね?むしろ好きでしょ?」


「あのキャラどうしてゲームで出さなかったんだろうってすごく思ったわ。だったら私……多分前世からユハルテット様一筋だったのに……。」


「え?ということは?」


「ええ。アルベルト様の事はもういいの。ごめんなさい。私が変なことを言い出したからせっかく上手くいっていたアルベルト様とアリッサ様をかき回してしまって。」


やった!!それなら私は心置きなくアルベルト様と結婚できる!!


「そう。良かった。実は私も前世からアルベルト様一筋だったの。」


「そうだったの?ごめんなさい。」


「いいの!いいの!お陰でアルベルト様との仲は深まったし。それより、私、ちょっと引っ掛かっていることがあって……。」


次回、最終話の予定です!!

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