第12話 違和感
外の冷たい空気にさらされて顔の火照りも気分も落ち着いて、庭園を散歩していた。するとカルロスが剣を振って鍛練をしているのが見えた。
カルロス……。結局、あなたの事もまだ、お兄様と、拗れさせたままだ。どうしよう。
「頑張っているわね。」
「アリッサ姫。」
浮かない表情のカルロスに申し訳なくなる。
「せっかく、お兄様と話せる機会をと思ったのに昨日はごめんなさいね。」
「いえ……。いいんです。それに私の異動も取り消しになり今まで通りユハルテット様にお仕えする事が出来る事となりました。」
「え?そうなの!?良かったわ!!」
いつの間に!?でも良かった!!
「それから……アリッサ姫。あなたの事も諦める事に致しました。」
「え?」
おっと、もしや昨日のイベントでガーネットへの好感度が増えたのか!?
「昨日のアルベルト様とアリッサ様を見ていたらとても私が入り込める余地などないと身の程を知りました。そして、やはり私にはこれしかないと思ったのです。」
そう言って真っ直ぐに剣を掲げた。
その顔は覚悟を決めた凛々しい騎士の顔だった。
ヤバ!!カルロスめっちゃカッコ良くて鼻血でそう。
「私はユハルテット様はもちろんアリッサ様もそしてお二人の大切な方たちも守れるそんな騎士になります。」
「ええ。あなたならきっとなれるわ。」
「え?なに!?どういうこと!?カルロス様、アリッサの事が好きだったの!?無謀すぎない?」
「あー。いたのねリッカル……。」
「ずっと後ろにいただろ!!」
「あなただって無謀にもガーネット様の事が好きなんじゃない。」
「え?違うけど?」
あれ?リッカルのイベント発生していたわりには好感度があんまり増えていない?
どういうこと?
確か私が知っているだけでも花屋間違い注文イベントと牢屋イベントの2つはやっていた。2つやっていたら50%は越えているはずだよね?
「え?じゃあ、まだ、私の事が好きなの?」
私はげんなりした顔になった。
「な!?お前!な、な、な、なに言ってんだよ!お前みたいなお転婆なヤツ好きなわけないだろ!!」
真っ赤になって否定するリッカル。
あーうん。好きなんだね。あれ?おっかしーなー。どうしてだ?
アルベルト様とカルロスは私がイベントを起こしてしまったから私を好きになるのはまあ、説明がつく。でも、リッカルは?元々私を好きだったとしても2つもイベントを発生させているガーネットよりもまだ私を好きなのって変じゃない?
イベント……そういえば、ガーネットはアルベルト様の出会いのイベントも発生させていたのに再会イベントが起こらなかったのよね。しかもどうやらアルベルト様は私をずっと思っていた様子……。ん?私とアルベルト様がパーティーで先に出会ってしまったから?
でも、私は所詮モブだし。先に出会ったからってなにも変わらないはず。というかゲーム内でもパーティーでアリッサに先に出会っていたハズよね……?うーん。何かがおかしい気がする。