表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

マットレスは怒った

 マットレスは復讐を考えていた。そう、マットレスは不快感を覚えていた。その元凶は言うまでもなく、自分の上に乗っかっている人間、カイヌーシだ。このカイヌーシのもっとも気に入らない点は自分の上で踊狂い、跳ねまくり、遊びまわるのだ。その衝撃ゆえにマットレスの布はもうボロボロになっていた。その激痛はもういてもたってもいられないのだ。まだ、日干しされずに繁殖したダニに闊歩されるほうがよっぽどましというもの。だが、マットレスは耐えていた。寝具として生まれたプライドがあったからだ。寝具たるもの、静かに黙すること。そして、速やかに人間の睡眠を促すこと。だからこそ、今日まで怒りを堪えていたのだ。だが、今日、それも限界だ。今日、カイヌーシは恋人のシーツにココアをこぼしたのだ。シーツの泣きじゃくる声が聞こえた瞬間、綿が燃える音がした。マットレスは復讐を決意した。

 マットレスはベットに相談することにした。ベッドは偉い、マットレスや、シーツ、枕、掛布団という一つではなんら役に立ちそうもにもない布袋集団を統括し寝具として昇華させる我らがリーダー、トップオブザ・寝具ことベッドなのだ。そんな偉いベッドにマットレスは相談をした。すると、ベッドはこう答えた。

「沈んで寝心地を悪くすればいいのではないのだろうか?」

 なるほど、とマットレスは感心した。

 今晩、またカイヌーシがベッドにダイブしてきた。激しい衝撃にも耐えてマットレスは極力反発を起こさすのように努めた。すると、いつもなら、跳ねまわり、動き回るカイヌーシが一瞬にしてはスヤスヤと寝だしたではないか。

 彼こそが後に、低反発ウレタンマットレスと呼ばれるのだったが、それはまだ大分さきの話になる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ