平凡な日常が非凡な冒険へ
「はぁ...なんで僕が冒険者アカデミーに通わないと行けないんだ...」
そんな事を愚痴りながら冒険者アカデミーまでの通学路をやる気無さそうに歩いている少年がいた。少年の名は間宮虹史郎、彼が愚痴るのには理由があった...それは彼が持つスキルだ。
冒険者の子どもは生まれつきスキルが発現する。間宮が持つスキルは「吸収」その能力は一目見ただけで魔法、剣術、体術を覚えられて使えるという何とも反則じみた力なのだ。このスキルが世に知れ渡れば間違いなく争いに巻き込まれる事に間違いなかった為、平穏に暮らすのが夢だった彼は冒険者になるつもりは無かったが、両親の勧めを断れず渋々アカデミーに通う事になったのだ。
「とにかくこのスキルは絶対バレちゃいけない...慎重に行動しなきゃ」
嫌々ながらも校門をくぐり教室を探しながら歩いていると双子とも思える少女たちに会った。
「すみません、1ーAの教室に行きたいのですが何処にあるかわかりますか?」
「それでしたら私たちも丁度1ーAに向かいますので一緒に行きましょう」
「ちょっと響子、何勝手に決めてんの!というか誰こいつ」
片方には一緒に行こうと誘われ、片方には睨みつけられ困惑していると
「あら、言葉遣いが汚いですよ佳菜子ちゃん?」
「そんな事はどうでもいいでしょ、どこの誰とも知らない奴と何で一緒に行かなきゃいけないのって聞いてるの!」
「困った方を助けるのは当然だと思いますよ?」
「あんたはいつもそうやって誰でも構わず声かけて...巻き込まれるこっちの身にもなってみなさいよ」
「あのー...時間がないので自分で探しますね」
いつまでたっても終わりそうにない2人の会話を見かねて虹史郎が声をかけると
「やばっもうこんな時間、初日から遅刻はしたくないわね...」佳菜子が腕時計を見て仕方なさそうに
「しょうがない、付いて来なさい。だけど一緒に行くのは教室の前までよ...中に入ったら知らないふりをする事、いいわね!」
「はぁ...」
急いで教室に向かう3人、まさかこの後思いもよらない形で再び関わるとも知らずに...