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ある秋の日、窓の向こう

作者: 川上青葉

「え、雪?」

「はい?」


窓の外を雪がひらひらと舞っていた。

驚いている私に対して、隣の友人は怪訝そうだ。


「この季節外れの暑さにやられたの? 大丈夫?」


そして冗談なのか本気なのか分からない表情で心配された。頭を。


「違うから。外見てよ、外!」


確かに今日は暑い。

11月だというのに、今朝の予報では夏日になると言っていた。

それなのに雪が降るなんて、いったい空の上はどうなっているのか。


「んー・・・熱はないかなー?」

「そう? なんかだるいんだけどなー・・・って違うから! それに近い近い!」


おでことおでこをコッツンこって、友よ。

いくら女の子同士でも、その可愛い顔を近づけられたら照れるぜよ。


「ぜよってなんだよ!」


思わず声に出してツッコんでしまった。


「何言ってんの? 保健室行く? 今日はカウンセラーさんもいるよ?」


ますます心配された。頭を。違うから。


「だーかーらぁ! とりあえず外見てよ!」

「うん、見たよ。天気いいね?」


うん、青空。快晴。いい天気!

・・・ あれ?


「え・・・えええーーー?!」


嘘だ。さっきは確かに降っていた。

雪が。この辺りでは珍しい、ふわっふわの綿のような雪が。

思わず立ち上がり、窓にへばり付いて外を改めて見る。

・・・天気いいね?


「白・・・あぁ、雪ってそれのこと?」

「へ?」


後ろで友が答えをくれようとしていた。


「あんまり勢い良く立ち上がるもんだから、スカートが捲れて可愛いフリルの白いパン「みなまでいわないで」


確かに今日は白だけれど! お気に入りのやつだけれど!


「違うから。確かにさっきは雪が降ってたの。ううん、舞ってたの!」

「うん、スカートがふわっと舞って、白いフリルがひらひらと「そこじゃなくて窓の外」

「え、外で? もしかしてあんた露出癖があ「違うから!」


このドS・・・可愛い顔でニヤニヤしおってからに。


「本当に大丈夫なの? 熱はなさそうだけど、次の授業自習だし、保健室で休んできたら?」


そして一転して心配そうな顔。この女たらしめ・・・。

でも、確かに休んだ方がいいかも。


「・・・うん、そうする。」


落ち着いて考えてみれば、そもそもこの暑いのに雪が降るというのはおかしいのだ。

だからこそ不思議なのだけれど。


「私、付き添おうか。なんだったら添い寝してあ「大丈夫だから」


休んで来ると言っているのに、熱が上がるようなことを言うでない。

ニヤニヤしおってからに・・・本当に心配してくれてるのかな?

どっちにしろ可愛いから許す。


保健室に向かう途中、ずっと窓の外を見ながら歩いていたけれど、空は青く、やはり雪は降っていなかった。

私の見間違い?

夢・・・な訳ないよね。起きてたし。


ひとつ確かなことは、頭を強く打つと星が本当に飛ぶということ。

角を曲がる時に思い切り壁にぶつかってしまった。痛い。

こんな調子じゃ心配されても仕方ないかな。


そう思って再び歩き出したのに、ついまた外を見てしまう。

・・・舞っていた。雪が。


私は息を飲んだ。

そして、予鈴で我に返るまでの間、その光景をただ呆然と見ていた。

気づけば雪は止んでいて、空からは季節外れの光がこれでもかと白く降り注いでいる。

いつ止んだのかもわからない。


私はひとつ頭を振り、今度こそ保健室に向かった。

頭を振った時、頭の奥がズキンと痛んだ。

雪の正体明かさないの!?

という声が聞こえてきそうですが、一旦ここまでで終わりです。

だから、もしかしたら続くかもしれません。

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