00ぼーけんしゃ
「おはよう。今日は早起きね。」
と微笑みながら母は私に言った。
「おはよ、おかーさん。」
私は寝ぼけ目で応えた。
「ほら、早く顔を洗ってきなさい。」
「はーい。」
重たい瞼をこすりながら小川の所へ私は向かった。
川の水は冷たくて気持ちが良い。でも、冷た過ぎて思わず尻尾と耳が立ってしまった。
「はふー」
顔がスッキリしたところで父が森陰から出てくる。
「お、今日は早起きだね。珍しいなぁ。」
そう言う父に私は問いかける。
「おとーさん。それって今日のごはん?」
「そうだよ。今日の夕食だよ。」
私はそれお聞いて少しガッカリした。
「え〜。朝ごはんじゃ無いの〜。プ〜」
頬を膨らませた私に父は言う。
「ハハハハ。朝ごはんなら今、お母さんが作っているでしょう。」
朝ご飯を食べ終わった私は父母に遊びに出かけると言う。
「おとーさん、おかーさん。人族の村に遊びに行くね。」
人族の母は私に
「ちゃんと耳と尻尾を隠すんだよ。」
と良い、父は
「気を付けて遊んで来なさい。」
と言った。
―人族の村―
心地よい風が吹くのどかな村。私はその村に遊びに行くのが大好き。
「おじいちゃん。今日も遊びに来たよ〜」
村の中でも最も年老いたおじいさんがいる。私はいつもその人と遊んでいる。
「オッホッホ。お前さんか。どうした?」
「あのね。今日はね。お勉強がしたいの。」
「おや、いつもみたいに遊ばないのか?」
「うん。ここに来る時にね。ピカピカしててね。細長いね。うーんと、なんか切れそうなのをね。ぶら下げた人をね。見かけたの。だから知りたいの。」
「細長くて切れそうな物をぶら下げた人…………ああ、冒険者の事が。」
「ぼーけんしゃ?」
「そうじゃよ。冒険者はなぁ凄いんじゃよ。懐かしいなぁあの頃が。」
「おじいちゃんも、そのぼーけんしゃだったの?」
「勿論そうだとも。特に、速さに特化した双剣士。≦双剣士≧をやっておった。」
「リア知ってるよ!後ろって言う意味だよね?」
「そう。速さに身を任せ相手の背後を取る。まさに森の狩人!」
「他には他には〜?」
「他にはなぁ。≦拳士≧や≦剣士≧、それと≦呪術士≧に≦聖術士≧、≦弓士≧、≦召喚士≧位かのぉ。」
「いっぱいあるんだ…………」
ちょっと頭がパンクしかけた私はクラクラする。」
「それでな、これらをまとめて職業と言うのだよ。」
おじいちゃんはまだ話を続けていた。
聞いている内に冒険者の歴史をおじいちゃん話し始めた。
{ちゃんとお話を聞かなきゃ}
私はおじいちゃんのお話を眠気を我慢しながら聞いた。
おじいちゃんのお話が終わった頃に私は
「おじいちゃん。今日もありがとう。また明日ね。」
と言って帰った
―家―
「おとーさん。おかーさん。ただいまー」
「「おかえりなさい。」」
今日もおとーさんとおかーさんの気が合っていて、ホッとした。もし揃ってなかったら喧嘩している最中だけ。
「あのね。今日ね。遊びに行く時にね。ぼーけんしゃさんをね。4人くらい見かけたの。」
冒険者という言葉を聞いて父が
「チッ、また奴らか…………何もされていないよな?」
そう言った父に母は、
「もうお父さん、耳が出てるわよ。それに、耳と尻尾を隠していたんだから大丈夫でしょう」
と呆れて言う。
「わーい。おとーさんとお揃いお揃い〜」
私は父が言った意味が全くわからなかった。




