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時風高校探偵倶楽部の活動報告  作者: 也麻田麻也
西根優人浮気事件
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悪い口

「月城とはなんか反りが合わないんだよ。ちょっとしたことで口論になるからな。名前の事だけであんなにも俺を嫌って反発してくることないだろ」


「……反りが合わないは違うと思うですよ。私は逆に合いすぎると思うです。だからこそいがみ合い反発しあう。誰だって自分と似ている人が近くにいれば嫌な気分になるです」


「俺と月城が似ている?」

 にわかには信じられない言葉に俺は聞き返す。


「そっくりですよ。一年の頃の月城くんと。目なんてクリソツで笑えるです」


 認めたくはないが月城は部に金井がいるせいで霞みはするが、かなりの美形だ。目付きが悪いと幼少の頃から笑われていた俺とは似ても似つかないぞ。

「似てないだろ」


「似ているですよ。目の色が」


 目の色って。俺も月城も純粋な日本人である以上互いに黒だ。似ていて当たり前だろ。


 そもそも火乃のようなカラコンをつけない限りはみんなそっくりだろ。


「さて」

 俺が疑惑の目を向けていると、日向は突如会話を替えた。


「学校の授業も間も無く終わる時間ですね。水澤くんもお着替えするですか」


 そう言うと日向は自分のリュックをあけ中から時風の制服のスラックスを取り出した。

 学校のロッカーにいれてきた俺のスラックスだ。


「着替えるのか?」


「念には念をです。トイレで着替えて来るといいです。それとついでにその潰れたダサい髪型も直してくるです。隣にいて恥ずかしいですから」


 結構なことを言ってくれるじゃないかと思いながらも俺はトイレに行き下をはきなおす。


 潰れた髪を直すのに苦戦しながらも席に戻ると、日向が両手でカップを抱えながらストローでチューチューとドリンクを飲んでいた。

 足もパタパタと振っている。幼さを倍増させるツインテールも相まってかその光景はもう小学生の女の子にしか見えなかった。

「出てきたか?」


「西根くんらしき学生は路地からは出て来てないですね」


「そっか」

 返事をし俺も外を眺める。


 さっきまでとは違い、ちらほら学生の姿が目につくようになってきた。

 早い所はもう授業は終わった時間のようだ。


 カップルらしき姿もある。デートでもしているのだろうな。


 そう思うと俺はふと思った。


 旗から見たら並んで座る俺と日向もカップルがデートしているように見えるんじゃないのか? 


 部活の一貫ではあるが女子とファストフードの店で並んで座る経験なんてない俺は、デートのように見えると思うと妙に日向を意識し始めてしまった。


 ヤバイ緊張で体が熱くなってきた。落ち着け俺と心の中で言いながら、少し強めに呼吸をする。


 音に気づいたのか日向が俺を向く。

「息荒くしてどうしたですか? 月城くんを抱く姿を想像でもしたですか?」


「するか!」

 そして、息が荒いのはお前だ。


 鼻息を注意してやろうと思うと日向は手を前に突きだし突如真剣な顔をした。


 その様子に俺に緊張が走る。西根が出てきたんではないかと思ったからだ。


 しかし日向の口からは思いもよらない言葉が飛び出した。


「まさか月城くんに抱かれる姿を想像していたなんて事はないですよね! それは私への裏切りです!」

 衆人環視の中照るも恥じらいもなく腐った発言をした。


 お前は何に真剣なんだよ。


「マジで黙らせるぞ、チビスケ!」

 俺の声も大きくなる。


 張り込みしていると言うのに俺達は目立ちに目立ちまくった。


「チビスケじゃないです。チビじゃなく小柄です。コンパクトです。機能美です」

 理解出来ない発言をしてくる。


機能美ってなんだよ。


「今は小型化の時代です。コンパクトカー、小型犬、小型盗聴器。スモール時代です。時代の流れに乗り、これからは祥子のような全身巨美女ではなく、私のようなコンパクトで慎ましい美少女が流行る筈です」


 そんな時代が来たら、町の中がロリコンだらけになるぞ。


 しかし、俺自身が貧乳派であるから強く言い返すことも出来ない。だからはっきりと言える一点にのみ突っ込みを入れる。

「お前、友達を全身巨女とか言うなよ。軽く引くぞ」


「大丈夫です。祥子は全身巨女とか、胸でかすぎです。前世はホルスタインですかと言っても怒ることはない子ですから」


「器広すぎだろ」

 俺なら怒鳴り散らしているぞ。


「因みに茜も馬鹿と言っても怒らないです。貴女みたいな馬鹿はさっさと森に帰って猿と戯れているですと言っても笑ってたです」


「よし。尾行は俺がするから、お前は菓子折り持って謝りに行け」


 口か悪すぎるだろ。と言うよりも何がどうしたらそんな酷い言葉を発することができるんだ? 


「因みに真夜姉様に赤く染めた髪と赤いカラコンってキャラ作りすぎと言ったときは……めっちゃ泣かされたです」

 遠い目をしながらふっと笑った。


 あの威圧感を前にしてよく言えたな。


 俺でも縮こまりそうになっていたと言うのに、こいつの度胸はかなりのもんだ。

 

 日向と楽しい談笑を続けていると、窓の外を多くの学生が行き交うようになってきた。

「さて、そろそろ動き出しても言い時間ですね」



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