お題もの、その七
ぐしゃり、と握りつぶした折り紙。
もともとは立派な鶴を模したものだったのに。
せっかく親友から、もらったものなのに。
夥しい数のソレを端から潰していく。
机の上にある温かいお弁当は見て見ぬふり。
そうして毎日、美味しくない固体を胃に流し込むことになるのをいい加減学ぶべきだろうか?
グシャ、ぐしゃ。
ぐしゃり。
その音に安心する。
もう動かなくなってしまった足が最期に発した音と同じだから。
私の足に憂いがあるのは私だけ。
他の誰もが気にもかけない。
ただ言うのだ。
人生はまだまだこれからだから一緒に頑張ろう、と。
もしこの足が傷一つないままならこんな想いをしなくてすんだのに。
リハビリなんて痛いことしなくてすんだのに。
自業自得なのかもしれない。
よく見もせずに道路に飛び出したから。
分かっている。分かってはいるんだ。
でも。
でも納得できない。
たった一回のことだった。
ほんの一瞬の、ことだったんだ。
後悔だけで今もだらだら生きている。
もうあの頃のように歩いたり、走ったり、飛び跳ねたりできない。
飄々とした黒猫のようだと評されたあの頃のようには。
白い部屋に流れ込んでくる熱風が鬱陶しい。
苛立った気持ちのまま窓を締めて、エアコンのスイッチを入れた。