平穏な日々は崩される。
さて、昨日のS区超晴天現象の犯人である俺は、ゆっくりとしたペースで夜の道を歩いていた。
七間から電話があり、まぁそれも点数で言うと90点以上95点未満と言う、かなりどうでもいい用事なのだが。
……回想してみるとしよう。
その電話は、俺が寝付こうとしている、その時間帯にかかってきた。
『旧未ー!』
『おう、なんだ。』
『焼き蕎麦パン、買ってこい!』
『……』
と言う訳で夜道をふらふらと歩きつつ、コンビニに到着したのである。
おや…あれは何だろうか?
コンビニの前で、学生と思しき少年3人組が、エアガンを空撃ちしながら、パンを貪り食っている。
これは参った。この先のコンビニに行くには、徒歩で10分の時間を要する。
そんな事を考えていると、目を付けられてしまったようで。
『おう、そこの兄さん……あんた、熟語挙者だろ。』
『そ、そうですけど……何か?』
思わず震え声で対応しちまったよ、全く。
『……やっぱりな。ちょっと兄さん、ついて来てくれるかなぁ?』
『だが断る。』
『黙れ。』
……ヤバい。
これはよくドラマで起こる「死亡フラグ」って奴じゃないか。
アレだ……組織とかに倉庫に連れてかれて解剖される奴……。
俺は、その光景を想像して、足が竦みそうになった。
……だが、俺はそこで。
人生で今だ経験した事の無い危険性を感じながら―――
……ただひたすら、願った。
助けて助けてこいつら殴って刺して嬲って弄って蔑んでボコボコにしてフルボッコにして鎖骨折って肋骨折って背骨折って首絞めて顔面殴って鼻折って金的蹴って上腕二頭筋潰して下さいお願いします。
だが、思った通りにはならないものである。
そいつじゃなくて、背後の2人がそうなったんだもの。
見えない何物かからの、衝撃によって。
『ちょっと俺の前にいる兄さん、後ろ見たら?』
『おう、それが遺言か……そのぐらい容易い御用、見てやろう。』
男は後ろを向いた瞬間、驚愕と混乱と恐怖に包まれながら、逃げて行った。
その後は店員が来て、通報してくれたのだが……。
やはり、平穏はまだ訪れないのかね。