大好きで大事な君を。
私は、自分のずる賢さが嫌いだ。
そのくせ可笑しな位、頑固で臆病だ。
自分の汚いところを見せたくなくて、全部隠したい。
それでも、自分を知っていてほしい。
我が儘な子供みたいな大人。
良いところを自分では見つけられない。
そんな人間だと思っている。
何もない私の手を控えめに引っ張る君。
大事な物から逃げ出したい私を弱々しいのに離さない。
「だいすき」
そう言う君は、綺麗で眩しくて、少し怖い。
どんどん大切な存在になる君が愛おしくて、逃げたくなる。
それでも、君は控えめに私の手を握っている。
私は、笑おうとする。
汚い部分が見えないように、笑っていたい。
自意識過剰なくらいに怯えて"自分"を隠そうとする。
最早、そう言う生態みたいに。
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「ちーちゃん、好きー、大好き!」
笑って言う自分は、今日もずる賢い。
そうやって言えばきっと君はこう返してくれる。
「僕も好きだよ」
その言葉がどれだけ嬉しいか分かっているんだろうか?
どこまで許してくれる?どこまでなら嫌わない?
今日も私は手探りで君の心の幅を試している。
1度だけ、嫌われるんじゃないかと思いながら我が儘を言った。
たまたま調べた記事と咳き込む君を見て。
「病院いってー」
多分お金もかかるし、検査するなら時間もかかる。
内心で酷く怯えて言った。
病気は怖い。
急に居なくなってしまう。
こないだ、電話したばかりなのに。
やっと退院するって言って笑っていたはずなのに。
あの人は、痩せて灰になっちゃった。
会いに行けば良かったのに。
そんなに急に居なくなってしまうなんて思っていなかった。
そうなるんじゃないか、って怖くなった。
拒絶が怖くて強ばっていた私に、君が言った。
「そうしてみるね」
笑った君に私がどれだけ安堵したことか。
君に色んな糸が絡まっているのは察している。
多分、自分じゃぁどうにも出来ないやつ。
「えっへっへ、ちーちゃん好き」
いきなり抱き付く私に、君は嬉しそうにしてくれる。
少しでも笑ってくれるなら私も嬉しい。
****
「ちーちゃん、金糸梅って知ってるー?」
唐突な質問に君が笑いながら答える。
「知ってるよ」
なんと、知っていたか。
あまり知られていない花の名前。
「あれ、好きなんだよねー」
だからどうと言うわけでもないんだけど。
何となく言いたくなった。
梅雨の時期に咲く黄色い花。
雨ばかりの時期に咲いて、いつの間にか散ってしまう。
仕事に行くときに見かけるその花が私は好きだった。
なんとなく花言葉を調べて、嬉しくなった。
君みたいだったから。
「きらめき」「太陽の輝き」「秘密」「悲しみを止める」
パソコンのキーボードを叩きながら、「そっかぁ」と気の抜けたような返事をする君を見つめる。
やっぱり好きだなぁ、そう思いながらにやける私を君が横目で見た。
「僕も好きだよ」
自意識過剰なくらいに怯える私は、多分変われない。
どんどん大切な存在になる君が愛おしくて、逃げたくなる。
それでも、今ここで耳を赤くしている君は。
私の金糸梅みたいな人で。
大好きで大事な人なのも、変わらないんだろう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!




