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可哀想なクール社長令嬢、俺にだけデレる顔がものすごく可愛い——ただ、君の思う100倍は愛が重いですが、大丈夫ですか?  作者: 仲村アオ


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第32話 同棲スタート 【♡有】

 こうして母・雅代の後押しもあり、俺と澄恋は晴れて同棲をスタートすることとなった。

 澄恋の幸せを妬む真由は猛反対していたが、雅代の圧力は絶対で、誰も逆らえなかったとか。


「あの……不束者ですが、よろしくお願いいたします」


「いやいや、そんなに畏まる必要ないし。俺と澄恋はもう、実質夫婦みたいなもんだろ? 俺のモノは澄恋のモノ。この家も『澄恋の家』だと思って過ごしてよ」


 裏を返せば、澄恋も俺の嫁ってことだ。

 これからは同じベッドで寝て、一緒に飯を食って、一緒に風呂に入って……仕事の時間以外、ずっと一緒にいられる。


 こんな幸せ、他には絶対ない!



「もう、音無くん。今、絶対に変なこと考えてたでしょ? いくら澄恋ちゃんが可愛いからって、初っ端から狼になってたら愛想尽かされるよ?」


「はは、凛の言うとおりだな。独占欲が湧くのは仕方ないけど、ほどほどにな?」


 幸せの絶頂に容赦なく水を差す凛と湊人さん。澄恋の引っ越し祝いに駆けつけてくれたらしい。


「澄恋ちゃん、引っ越し祝い。私のお気に入りのルームウェアで、実はお揃いなんだ。今度一緒にお泊まり会しよ?」


「本当ですか! ありがとうございます。すごく嬉しい♡」


 女子二人でウフフ、アハハと可愛らしい空気。美少女二人の戯れは、それだけで目の保養だ。



「それにしても、あの音無が結婚前提の同棲って……人生、何があるか分からないな」


「んー、それに関しては俺が一番驚いてるかもしれないですね。癪なんですけど、母親が全部見抜いてたっていうか。本当は俺が高校卒業した頃に澄恋との縁談が来てたのに、それを蹴ったんですよね。もっと早く出会えてたらって思うと、悔しいです」


「けど、その時に出会ってたら、今みたいな関係にはならなかったかもしれない。人間って、ちゃんと出会うタイミングが決まってるんだと思うよ」


 湊人さんが言うと、言葉の重みが違う。

 俺もこの人を見習って、澄恋を大事にすると改めて誓った。



 そんな話をしていた矢先、ソファでキャハハと戯れていた女子たちが「お願いがあるんだけど」と声をかけてきた。


「ねぇ、音無くん。早速だけど——今日、お泊まりしていい? 澄恋ちゃんとお揃いのパジャマ着たいんだ」


「はぁ!? 何言ってんだよ? 今日は同棲初日。二人でお祝いするに決まってるだろ?」


 明日は休み。朝までコースと決めている。それをお泊まり会で邪魔されるなんて許されない。


「でも、今から佐久間くんと寧と、圭吾くんもお祝いに来るよ? もちろん皆、音無くんの家に泊まる気満々で」


「家主の許可を取れ……! 勝手に決めんなよ?」


「家主なら——澄恋ちゃんの許可を取りましたー♡」



 くそ……! 確かに『この家は俺だけの家じゃない、澄恋の家でもある』とは言ったが、こんな形で主張されるとは思ってなかった。


 この、澄恋の優しさに漬け込む小悪魔め!



「まぁまぁ、今日は諦めろ。どうせ明日からずっと一緒にいられるんだろう?」


「湊人さん……! けど、俺、今日の日をどれだけ待ち侘びてたか……!」


「日付が変わる前に帰るようにするから、な?」



 それからしばらくして佐久間たちが到着し、宴会騒ぎが始まってしまった。

 少し前まで人と話すのが苦手だと言っていた澄恋が楽しそうに笑う。確かに、こういう時間も大事だろう。



「澄恋ちゃん、いいなぁ。音無先輩って色気があって、すごく女の人に優しいって聞いたよ? 実際、二人の時ってどんな感じ?」


 佐久間の彼女・(ねい)が、酔った勢いで爆弾を投下。あまりの突拍子のなさに、佐久間は酒を吹き出した。



「それ、私も気になってた。噂じゃ『音無くんと寝た子は沼る』って……。すごいテクニシャンだって聞いたけど」


 おい、やめろ。過去の色恋を掘り返すな。

 そして聞かれた本人は色々思い出して、顔を真っ赤にしている。



「えっと、その……わ、私、蓮以外に経験がないから分からないんですけど……とても大事にしてくれているのは分かります」



 無茶振りに真面目に答える澄恋に、一同がほっこり。うん、可愛い。


「えぇー、音無先輩のことだから、自分が満足するまで啼かせまくると思ってたのに、ベッドの上では紳士なんッスね」


 空気を読まずにエロ発言をぶっ込む佐久間。

 うん、お前は後でしばく。


「あ……でも、結構《《俺様》》ですよ? 無理をさせられた時は気遣ってくれてマッサージしてくれたり、お風呂で髪や身体を洗ってくれたりするけど、色々アクロバティックなことを言ってくるというか……」


「「「————!!?」」」



 ざわつく一同。


 やめろ、やめろ……!

 それは人前で言っていい内容じゃない!



「この前は仕事前に甘えてきて、もう少しで遅刻寸前で——『澄恋! ストップ! それはダメだ!!』」


 慌てて口を塞いだが、時すでに遅し。

 ニヤニヤと小悪魔な顔の凛と寧が「朝からお盛んなんですねー♡」といじり始める。


 湊人さんに至っては「お前って奴は……」と眉間を押さえて呆れ返っていた。



「……蓮、同棲したからって節操なしになったら、叔母さんにチクるからな?」


「いや! 子作りに関しては母から『早く作れ』って言われてるから問題なし!」


「問題あり過ぎッスよ! やっぱ音無先輩は性欲オバケッスね!」



 結局この騒動を皮切りに、俺と澄恋は盛大にいじられるハメになった。

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