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可哀想なクール社長令嬢、俺にだけデレる顔がものすごく可愛い——ただ、君の思う100倍は愛が重いですが、大丈夫ですか?  作者: 仲村アオ


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第14話 絶望の澄恋と浮かれ彼氏 【♡有】

 ひとまず波乱は過ぎ去り、澄恋さんを帰らせて、俺は仕事に戻った。

 食べ損なった弁当箱も片付けて、部署の人たちに迷惑をかけたことを頭を下げて謝罪した。


(おかげで佐久間主催の合コンに参加しなくて済んだのは助かったが……)


 そして就業終わりの時間になり、俺は早々に仕事を切り上げて帰るとこにした。




 家に帰ると、沈んだ雰囲気を纏った澄恋さんがソファに座り込んでいた。あまりの暗さに声をかけるのを躊躇いそうになる程だった。


「た、ただいま」


「——音無さん。お帰りなさいです」


 覇気のない声。もしかして姉の真由さんから何か言われたのだろうか? それとも湊人さんや佐久間達にきちんと挨拶ができなかったことを悔やんでいるのだろうか?



「……音無さん、私……どうしたらちゃんと出来るんでしょうか?」


 どうやら彼女が悩んでいたのは後者だったらしい。

 確かに俺と結婚するなら、社交的な場に慣れていた方が助かる。会社での立ち振る舞いは勿論、会社同士の付き合いなども少なくはない。


 だが、俺とはちゃんと話せているのだから、悲観する必要はないと思う。



「大丈夫だよ、澄恋さん。練習あるのみだ」


「練習……。でも、そもそも私、友達も少ないし……」


「それなら俺の知り合いと仲良くなってみればいいんじゃないか? 今日紹介した二人の彼女とか。澄恋さんと年も近いから話しやすいと思うよ」


 最初は異性よりも同性の方が親しみやすいだろう。俺は今度紹介すると約束をして、彼女を後ろから抱き締めた。


「それより、せっかく弁当を作ってくれたのに食べられなくてごめんな? 楽しみにしてたんだけど」


「そんな、音無さんは悪くないです! 落としたのは私だし、気にしないでください」



 彼女が振り向いた瞬間、お互いの鼻頭がぶつかり、瞬発的に目を瞑り合った。そして再び混じり合う視線。

 やがて惹かれ合うように唇が触れ合い、そのまま長いキスを交わした。


「ん……っ、んンン」


 ただ唇同士が触れ合っただけなのに、こんなにも気持ちが良くて高揚するなんて。気持ちが抑えきれなくなった俺は、そのまま彼女の身体をソファーに押し倒し、頸筋に顔を埋めた。


「音無さん……っ、ダメ……」


「無理。俺、ずっと我慢してたのに、今更待てない。澄恋さん、好きだよ」


「わ、私も好き……。でも、まだご飯も食べていないのに」



 ダイニングテーブルに視線を向けると、彼女が用意してくれた美味しそうな夕食が並べられていた。仕事で精を尽くした俺のために作ってくれたのかと思うと、なんとも言い難い気持ちが込み上がってきた。



「それに、シャワーもまだ浴びていないし……。だから、その……ちゃんとしてから、シたいです」


 強く手を握りながら告げる彼女を見て、俺も観念したように溜息をついた。


 そこまで言われたら、諦めるしかない。



「わかった。けど、今日の夜は遠慮しないから。明日は仕事も休みだし、澄恋さんも覚悟しておけよ?」


「は、はい! 私もそのつもりで下着も準備してきました。音無さんの好みだったらいいんですけど……」



 俺好みの下着だと?

 俺とのエッチの為に用意してくれたってことは、彼女もそのつもりだったということなんだ。

 ヤバい、あまりの嬉しさに顔がニヤけてしまう。想像しただけで下半身が熱くなる。



「ちなみにどんな下着か……見せてもらえる?」


「だ、ダメです! 後からのお楽しみにしててください!」


「お楽しみって、ハードル上げるねー、澄恋さん」


 カァー……っと、顔を真っ赤にする彼女を茶化しながら、俺達はテーブルへと歩き出した。

 料理はハンバーグと唐揚げ、そしてスモークサーモンが彩られたフレッシュサラダ。いかにも『彼女が作ってくれた愛情いっぱいの料理』で、見ただけで胸がいっぱいになる。



「音無さんのお口に合うといいんですけど……」


「いや、作ってくれた時点で満足だし! 全部感謝しながら頂きます! スゲェー……そっか。彼女って、こんなこともしてくれるのか。弁当もそうなんだけど、何気に手料理って初めて作ってもらうんだよな。ありがとう、澄恋さん」



 もちろん、澄恋さんの手料理は見た目だけでなく、味も最高に美味かった。肉汁溢れるハンバーグに、カリカリで香ばしい衣の唐揚げ。


 ますます食べれなかった弁当が悔やまれる美味しさだった。



「澄恋さんと結婚したら、毎日この料理が食えるのか」


「お、大袈裟です! 今日は初めての手料理だったので頑張ったけど、普段はここまで作れないかも」


「いやいや、毎日じゃなくても十分だし。っていうか、澄恋さんと一緒に食えるだけで幸せだし」



 今まで恋人=セックスとしか考えていなかった自分が恥ずかしい。

 誰かと生きるっていうことは、こう言うことなんだと改めて実感した。


 彼女との生活は苦じゃない。むしろ居心地の良ささえ感じる。キスや肌の触れ合いも悪くない。


 あと危惧していることは——……



(澄恋さんの体型、モデルみたいなスレンダーなんだよな。聞いてる限り処女だろうし、自慰行為もしてなさそうだし……)


 こう言っちゃなんだが、元カノ達からは大きめだと言われてきた。好きな人は好きだが、痛かったり裂けたりするせいで敬遠されがちでもある。



(エッチはしたいけど、デキなかった時や嫌がられた時のことを考えたら恐ェな)



 俺は目の前で恥ずかしそうに微笑んでいる澄恋さんに笑い返したけれど、心の奥では真剣に悩んでいた。

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