第一話
なろうを触るのも見るのも小説を書くのも初めてです。
バトルアクション、SFファンタジー、戦記・戦争もの系です。
初心者が勢いで描いただけなので、変な所はあると思います
若干グロい?表現があるかも知れません
『字闘戦記サイファー』
第一話
主人公サイファーと、その友達であるゼロは今日も仲良く遊んでいた。
この街ツェアシュテーレンは、静かな陽光に照らされ活気に満ちていた。
石畳の通りを歩く人々の声が重なり、どこかの窓から焼き立てのパンのいい匂いが漂ってくる。
「なぁサイファー、腹減ってきたな」
ゼロが頭を掻きながら笑う。
「さっきも食ってたじゃねえか」
苦笑で返すサイファー。だが、その表情はどこか楽しさを感じる。
二人の会話は、平和を感じさせる。
けれど、その裏には着々と迫りくる戦火の影があった。
「あの店美味しそうだな、行こうぜ」
そうゼロが笑いながら話した。
その時だった。
轟音が街の空気を一瞬にして変える。
見上げれば、灰色の機影。
何事だと人が集まり機体を見上げる。
次の瞬間、火線が走った。
平穏は、見る影もなく崩れ去った。
石壁は砕け、炎が瓦礫を呑み込む。
逃げ惑う声と肉の焼ける臭気が混ざり合い、町は紅く染まる。
充満する火と鉄の匂い、響き渡る轟音。
まさに“地獄”。
なんとか脱出できたサイファーとゼロは必死に逃げる。
だが、謎の機影が放った攻撃がゼロの近くに着弾した。
「うああっ!」
突然のことにゼロは反応する間もなく、下半身が吹き飛ぶ重傷を負った。
「ゼロ!!!」
「サ、サイファー!俺のことは気にするな!」
「早く、逃げろ!」
「そんな、お前を置いていくなんてできるはずが!」
「お前までこうなるぞ!」
「でも!!!」
「いいから行け!!」
「くっ……!」
(今までありがとう。サイファー)
(俺の分もよろしくな)
サイファーは走り去る。
しばらく離れて振り返ると、ゼロは地面で永遠の眠りについていた。
「くそっ、ゼロ……ゼロ……!」
サイファーはどん底に叩き落される。
「世界を旅行して美味しいもの食べるって言ったくせに……!」
「……俺だけでも、絶対に生き残るしかない」
サイファーは覚悟を決めた。
亡くなったゼロの分も生きるために。
サイファーはひたすらに走った。
他の人たちが死んでいき、破壊されてゆく街を見ながらに。
足が疲れ、引きちぎれそうになっても、もう動きそうになくても。
できる限り遠くまでと、ずっと。
走りに走り続け、ようやくサイファーはゼルシア軍が設営した避難所に到着した。
「ここなら大丈夫だろう。ゼルシア軍もいる」
サイファーは安堵する。
目を向けた先では、ゼルシア軍による仮住まいへの誘導が行われていた。
サイファーも誘導され仮住まいを手に入れた。
「ゼロ……」
走り続けて疲れた体に、ゼロがいなくなった苦しみが重くのしかかる。
「はは……」
サイファーは吸い込まれるように布団に入る。
「フカフカだな……」
布団が心地よく、サイファーは吸い込まれるように眠ってしまった。
次の日、たくさんの音でサイファーは目覚めた。
「朝からなんだ……」
サイファーは窓から外の様子を覗く。
すると敵軍とゼルシア軍が交戦しているところが見えた。
ゼルシア軍が劣勢。
「軍が負けてる……? まずいな」
サイファーはまた逃げる決意をした。
準備していると地面に落ちた二つのリングのようなものを見つける。
「なんだこれ……ポケットにでも突っ込んでおくか」
リングをポケットに入れようとしたその時、ゼロが「いつもつけてるリング、失くしちゃったんだよな」と言っていたのを思い出す。
「同じな理由はないだろうけど……」
気付いたらサイファーはそのリングを指にはめていた。
体が浮くような感覚と、リングをはめた指から力が湧き出てくる感覚。
サイファーは困惑しつつも、「たまたまだろう」とあまり深く考えずにいた。
逃げる準備ができたサイファーは外へ出る。
外へ出てみると、まさに地獄。
防衛していたゼルシア軍は全滅。
敵軍が町の住民や避難民に攻撃し、悲鳴と武器の音だけが聞こえる。
この町も赤く染められ、どうしようもなくなっていた。
その時、ヘリに書かれた紋章が目に入る。
「あれは……!」
その紋章は、かの大国「オーレシア連邦王国」のマークであった。
「そんな……」
サイファーはまた絶望に叩き落される。
「……こんなとこで死ねるかよ!」
サイファーは覚悟を決める。
こちらに注意が向いていない間に逃げようと。
サイファーが隙を見て走り出す。
だが運悪く、こちらに振り向いたオーレシア兵に見つかってしまう。
「隊長! 逃げようとする者が一人います!」
「逃がすな! 殺れ!」
「了解!」
逃げるサイファーに向け、オーレシア兵はロケット弾を発射する。
ロケット弾は音を立て、必死に逃げるサイファーに着実に近づいていた。
サイファーはロケット弾が近づく音を聞き、諦めるように地面に座り込んだ。
「早すぎる。ここで終わりか……」
その瞬間、時間の流れが極めて遅くなった。
(あれ……遅くなった……?)
そして声が聞こえた。
(立て! 早く!)
サイファーは突然のことに驚く。
(いまのは……ゼロ!?)
さっき下半身が吹き飛ばされて亡くなったゼロの声が聞こえたのだから。
(いいから立て! 死ぬぞ!)
サイファーは戸惑いつつも立ち上がる。
だんだんロケット弾が近づいてくる。
その時、目の前に文字が現れる。
「反転」
その文字を見たその時、向かってきていたロケット弾が勢いを失い、向きを変えてオーレシア軍の元へ飛翔していく。
想定された速度を超え飛翔してくるロケット弾を見たオーレシア軍は混乱に陥る。
だが軍の実力はすごいものだった。
着弾する寸前でこれを迎撃、破壊した。
破壊時の衝撃で何名か吹き飛ばされる者も出たが、大きな被害は無し。
体制を立て直した軍は数発のロケット弾を発射した。
再度飛来するロケット弾に対し、逃げようとするサイファー。
「くっ、またか……!」
サイファーは絶望する。
その時、またもや目の前に文字が現れる。
「防壁」
(とにかく逃げろ!)
「……わかった」
サイファーは逃げ出す。
とにかく逃げる。
少ししたあと、サイファーは後ろから爆発音を聞き取る。
振り返ると、壁のようなシールドが見える。
それがロケット弾を防いだようだ。
安心していたその時、膨大な記憶が流れ込む。
「何だこの記憶は……」
(俺の記憶だ。あとは自分でどうにかしてくれ)
(そのリング、任せた)
「ぜ、ゼロ!?」
困惑するサイファーの脳内から何かが消えていく。
消えていく感覚を感じ取ると同時に、サイファーは力が湧き上がってくるのを感じた。
「……そうか。あいつは俺にすべてを……」
「そうなりゃ、簡単には死ねまいか」
そこからサイファーは記憶を頼りにすることにした。
「これをこうして……」
サイファーが指に力を込め、宙に文字を書く。
「撃」
字が光るその時、字から出た光線が軍の方へ一閃する。
そして爆発音が響く。
軍が使う最新鋭ヘリコプターが無様に爆散する。
「今の光は……ってうわッ!?」
ヘリの最も近くにいた隊長が爆発で飛んできたヘリの部品に巻き込まれ、重傷を負う。
ヘリと隊長がやられたことにより部隊全体は混乱に陥る。
サイファーはチャンスを感じ取り、また文字を描く。
「飛」
すると「飛」の字がバラバラになり翼になる。
その翼はサイファーの背中につく。
サイファーは飛び立つようだ。
(よし! これで逃げられる!)
「俺はいい! あいつを逃がしたらまずい! 絶対逃すな!」
その言葉で部隊全体の武器がサイファーに向けられる。
(狙われてるな……)
サイファーの元にロケット弾や銃弾が大量に向かう。
(まずいなこれは……)
サイファーはひたすら攻撃を避ける。
だがどうしても一部の弾やロケット弾が回避しきれない。
サイファーはとある技を試すことにした。
(○書いて「操」書いて……)
○の中に書いた「操」の字が赤く光り出す。
「よし、成功だ! いってこい!」
その時ロケット弾が反転し、オーレシア軍の元へ向かっていった。
「反転した!?」
「どういうことだ!?」
逃げるオーレシア軍達に無慈悲にロケット弾が降りかかる。
「小隊に次ぐ! 総員撤退だ! 逃げろ!」
「あいつを追わなくていいんですか!?」
(血を吐きながら)「我々小隊ではどうにもならない……全戦闘記録を保存しろ……!」
「奴は……あの存在だけは、上に報告を……!」
「了解、保存と撤退を開始します。隊長、生きて会いましょう!」
「あぁ、武運を祈る!」
(あの小僧、絶対逃さない……)
(この隙に逃げよう!)
サイファーは遠くを目指して飛んでいった。
こうして今、長い長いサイファーの旅が始まる。
第一話 fin
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