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其ノ壱
ここは、特別な場所。
今と昔と先が交わる町。趣のある街並みや服装と、最新テクノロジーを駆使した便利な生活。
そして、人と、人でないものが挨拶をして、売り買いをし、笑い合う。そんな不思議な場所での物語。
この町の朝は早かったり、遅かったりする。
店をやっている者は、その時の気分で開ける時間が変わったりするのはしょっちゅうあることだ。
それはここ、『さよなら華兎の雑貨屋』も同じ事。
町にちょこんと建つ、小さな雑貨屋。
駄菓子からゲーム。
お守りから小説、漫画。
店主が好きな物で構成された店。
シャッターは閉まったままに、おかっぱの狐の仮面を被った女の子が店を見上げる。
じーっと、しばらく店の前で背伸びしたり、体を揺らしたりしていましたが、業を煮やし、シャッターをすり抜けて店へ入っていきました。