ノックする者
こちらは百物語六十一話になります。
山ン本怪談百物語↓
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トントントン!
「入ってます…」
トントントン!
「あの、入ってます」
さっきから何なんだこのノックは…
腹が痛くなって公園のトイレへ駈け込んだはいいが、どうやら変な奴に絡まれてしまったらしい。
トントントン!
「もう!入ってます!」
何回言っても、ドアの向こうにいる奴はノックをやめない。完全に嫌がらせだ。
トントントン!
「いい加減にしろよ!」
用を済ませた俺は、トイレのドアを思いっきり開いた。
「………あれ?」
ドアの向こうには、誰もいなかった。誰かが立ち去ったような音は聞こえなかったし、隣の個室に隠れた様子もない。
「どこ行ったんだ…気のせいだったのかなぁ…」
意味のわからない展開に困り果てた俺は、一旦トイレのドアを閉じた。
すると…
ドンドンドンドンドンドンドンドンドンっ!
再びノックが始まった。