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プロローグ

「のわあああ!お金がないよおおお!」


 パーティーメンバーのレリスが切実な叫びを上げる。


 このところ依頼を達成してもお金が増えない。

 なぜなら


「どうしてゴブリン達までボディーアーマーを着てるの!」


「どうしてボディーアーマーに9㎜弾は弾かれるの!」


「どうして9㎜弾だけなのに報酬の半分がなくなるの!」


 言うだけ言ったレリスは、叫びながら泣き崩れる。

 無理もない。事実だもの。

 斯くいう私ことネルも同じだ。


 使っている銃は、レリスが9㎜サブマシンガンのUMP9。私も同じく9mmサブマシンガンのVz61、スコーピオンとも言われている。


 銃社会に発展してもなお未開拓地が多いこの世界。町は、壁で囲んだ要塞都市が主流だ。

その町の間で取引する際に車両で移動することがある。その時の道中などで襲われ、物資を持っていかれる事が多々ある。その時の防具をゴブリンなどの人型モンスターが着て現れるのだ。


「いい加減新しい銃に変えないといけないでしょ。もうゴブリンですら私たちと同等の防具を着てるんだから」


「同等じゃないわ! それ以上よ!」


「だったらなお更だめでしょ」


 そう、今回の依頼で出会ったゴブリンは、私たちが着ているボディーアーマー(鉄板で防御するタイプ)に比べてアイアンスパイダーの糸で出来た防具だ。私たちの防具より丈夫で軽量な素材なため、なんとか使える状態でも高く売れる。が


「あのゴブリンが着てたアイアンスパイダーのアーマーあれを弾痕だらけにして・・・売れれば高かったのに」


「だって、遠目じゃ分からないじゃない!」


「だからって硬い硬い言いながら穴だらけするんじゃないわよ!」


 アイアンスパイダーのアーマーは、新品を売れば最新の高級銃を買えるくらいなる。自分で使うのも大いにアリな代物なのだ。

 そんな穴だらけのアーマーを持って防具やに持っていったのだが。 


「あの防具屋の言葉覚えてる? 「いくら払うんだ?」よ。こっちが売りに来てるのに金を要求されるのよ! あんな高価な防具を持って行ったのに!」


「わあああああああ!」


 高級防具を穴だらけにしたレリスは、耐えられず泣き出した。


「いい加減9㎜から抜け出そうよ。せめて私たちの防具を貫ける5.56mmのライフルをどっちか持ってたほうがいいでしょ、ね?」


「ぐす・・・うん」

 

 泣き止んだレリスを連れ、武器屋に入った。


「アサルトライフル・・・スナイパーライフル・・・」


 連射ができるアサルトライフルと正確な一撃を与えれるスナイパーライフル、どっちかほしいところ。


「ねえねえ! これはどう?」


 とレリスが指で何かを指してる。それに視点を向ける。


「ダメに決まってるでしょ!」


 指していたのはRPG7ロケットランチャー、もはや銃ですらない。


「だって、これさえあればワイバーンにも勝てるって書いてあるし。これ持ってワイバーンの依頼を請ければ大儲けだよ!」


「あんた・・・それ買った分より儲けるのにいくら依頼を請けなきゃいけないのよ」


「だってこれでドカーンっと」


「いてっ」


 両手を広げて大げさに表現をしようとしたレリスの手が誰かにぶつかった。


「あ、ごめんなさ・・・い?」


 160cmくらいの背に対して長すぎる銃を持った少年だった。


「なんで、ぶつかっておいて謝罪が疑問形なんだ」


「あ、ごめんなさい。えっと、君も・・・ガンナー?」


 要塞都市それぞれには、ガンナーギルドという傭兵に依頼を出す機関がある。ガンナーギルドで依頼を請ける人を「ガンナー」と呼ぶ。私たちもその一員だ。


「銃を持ってないガンナーがいると思うのか」


「あ、そそうね。それ、もしかしなくてもスナイパーライフルだよね?」


「モシンナガンだ。どっかの誰かのようにスコープなし、じゃないけど」


「依頼を受けた回数は?」


「なんでそんなこと答えなきゃいけない?」


「いいから! お願い!」


 手を合わせ、頭を下げる。そんな私を見たモシンナガンを持った少年は、渋々というような顔をして答える。


「20件・・・最高難易度は、Cのブラックベアー討伐」


 (ブラックベアー! 通常の9mm弾だったら結構な弾数を使うって言う!)


「それ、一発で?」


 話を聞いていたレリスが聞きたかったことを言ってくれた。


「うん、そうだよ。徹甲弾込めて頭に一発」


「ネルちゃん・・・私達まだDのゴブリン退治とかまだやってるのに・・・」


 涙目になったレリスが私に訴える。やめて私も泣きたくなる。


「君たちはゴブリン退治をしているのか。最多で何体のゴブリンを一度で相手にした?」


「え・・・10体」


「10体! それはすごい」


「え、なんで?」


「僕が一人でやってるからさ。一発を正確に撃つことはできるが、それが弱点なんでね。10体とか大勢になると間に合わなくてやられるかもしれない。あと閉所とかも他に誰か居ないと絶対に無理だね。銃身が長すぎて上手く振れないから。」


「それが分かってるのになんで一人なの?」


「・・・」


 どうやらレリスの質問は、地雷だったらしい。顔をそむけ、答えたくないと行動で示す。


「じゃあさ! 私たちと組もうよ!」

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