僕の辛さ
最後まで書けるかなー。
話しを始めようとするスーを手で制止して、一歩前へ出る。
「どういう意味ですか?」
フードを被っているから、自然と俯きながらになるが、出来るだけ大きな声で尋ねる。
出来るだけ落ち着いた声で、はっきりと周りにも聞こえるように。
隊長も、周りの人からの視線を意識したようで、一旦、落ち着いた声色になる。
青筋は、まだ立ってるけど。
「この街で、人さらいがあった。お前くらいの子供がな。うちの隊員から、少年の服を買い求める怪しい男がいると報告を受けて、駆け付けたところ、その者がのらりくらりとはぐらかすから、尋問していたまでだ」
隊長も、自分の正当性を証明するように、よく通る声で答える。
後ろの隊員は、小突きあいながら、にやにやと隊長の後ろから見物している。
あいつらの仕業か。
この隊長は、どっか外部からでも出向してきた奴なんだろう。外から来た上司に恥をかかせるために隊員にしてやられたな。
「その少年の髪の色は何色ですか?」
急な問いに、隊長が戸惑いながら、答える。
「そりゃあ茶色だが、、、」
訝しがりながら答える隊長。
この街に住む者の、ほとんどが茶色の髪だ。
というか、この国の人間の髪は、基本的に茶色で、あとは、黒に近いか、やや赤に近いか、その程度の差だ。目の色も同様。
「じゃあ、僕とは関係ありません」
そう言って、フードを脱ぐ。
フードの下から表れた僕の髪は、光を反射する肩までの銀髪。
目の色は、薄い翠。
それだけでも、十分目立つのに、僕の容姿は、とてつもなく美しかった。
周りから声が、音が、一切無くなる程に。
楽しいけど、不安しかない、、、




