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委員会と読書のお話

 本好きな学生が図書室にいると思ったら大間違いです。

 知らない人間が大勢いらっしゃるんですよ? 誘われなければ行きません。誘う人間がいらっしゃらないので行きませんよ、もちろん。

 では、どこで本を読むのか。

 わたしの場合、厚さのあるものは書店で現物書籍、エンターテイメントは電子書籍を楽しむことが多いです。

 

 書店で購入する場合は、店員さんに本とお金を差し出せば済みます。不安そうな新入りさんでも笑顔を振りまけばそんなに時間はかかりませんし。

 ホテル暮らしなのでそこまで多くの現物書籍は持てませんが、そのほうが散財を抑えられるのでGoodなのです。

 まあ、何を重視して追求するのか。電子書籍への資金は反比例してしまっていますが、これが人生です。


 しかし、図書室という空間には人間が少ないタイミングが存在します。

 そう、食事の時間です。

 図書委員でなければなかなか気がつけない、これぞ盲点!



 盲点といえば、合理性に欠けますよね。

 脊椎動物の発生過程を考慮すると致し方ありませんが……

 しかし、眼球内の光受容体についてムラがあるのもいただけません。

 科学の発展に倣って、人間はこれ以上は進化できないのでしょうか?

 たとえば、眼球はイカを見習うとか。

 そうすれば、スフィンクス……あれ? マフィン、フィジックス、フィジシャン、フィジョン、フィアンティーヌ、フィアナランツォア、フィッシャー……んー、フィッシングは犯罪ですよね。


「お願いします」


 おっと、貸出のお仕事です。

 新書ですね。趣味の範囲か、授業で使用するのか、どちらでしょう?

 そちらを考える前に、まずは、学生証の数字をみせていただかなければ。


 よかった、ポケットに生徒手帳入ってました!


 学生情報が載っているページを急いで開いて、学籍番号のところを指さして見せました。すると、はっとしてスラックスのポケットから取り出した生徒手帳を差し出してくださいました。

 はーい、ありがとうございます!

 できるだけ自然に見えるように笑顔を浮かべておきました。


 学籍番号を確認しながら入力。名前が合っているか確認して、貸出書籍のバーコードを……あれ? ……あ、できました。ピッ! と読み取ります。


 あっ、フィトンシドではなくて、あの、フィブロインでもなくて、フィリングイン!!

 フィリングインです!!

 盲点による視覚の不自然を勝手に修正してくれる操作!

 イカみたいな目になれば盲点がありませんから、修正操作も必要ありません!!

 …………以上です。

 スッキリしました、満足です。


 そんな不審なものを見るような視線で。

 ははは。失礼いたしました。

 笑ってごまかしながら、彼に貸出書籍と2週間後の返却日が記された栞と生徒手帳を差し出しました。






 はい。

 このとおり、食事の時間となるとほとんど人がいません。

 快適ですね。

 お仕事も特にないので、わたしも図書室の本を読んでおります。

 読書しながら思い出すのは、先日の部活紹介ですね。

 3年後の受験、どのような方法を使うか決めていないため内申をさよならするわけにはいきません。


 何かしら入りたいとは思うのですが……まず、運動部はちょっと、いえ、かなり厳しいです。

 とすると、文化部である必要があります。

 茶道部、華道部、吹奏楽部、合唱部、弦楽部、軽音楽部、筝曲部、科学部、クイズ部、文芸部、すべてで10つあります。


 和、音楽、思考――ジャンル分けすると、こうなるでしょう。

 現時点で気になっているのは、華道部、弦楽部、科学部、文芸部の4つです。


 お花を生けるか。

 弦楽器を演奏するか。

 科学に関することをがんばるか。

 本を読んだり話したりするか。


 ……最重要なことは、人と話す機会についてですね。

 これについては、推測が難しいですから直接「見学」をする必要がありますね。どのような部活動の雰囲気だったか聞ける友人がいないので。

 どうしましょう、自分で理解していながら、なかなか悲しい事実です。


 ひとまず、それぞれの活動場所は確認しておくことにします。

 今は快適空間の読書を楽しむことにします。

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