桜餅は良いですよね
コンビニの桜餅!
見つけました、見つけましたよ!
ご覧ください、桜餅です!!!!
学校で偶然ひとついただいたのです。
何かよくわからない物体にしか見えないけれど、きっとおいしいんだろうなぁ……と眺めていたら、ひとついただきました!
こんびにに売っているこんびにすいぃつなるものだそうで。前の席の方には誠に感謝なのです。甘いものや間食の類が好きな自覚はあったのですが、初めての味には興味もひとしおなのです。
鮮やかなピンク色でしたからベリー系の味かと思いましたけれども、まったく違いました。甘くて、しょっぱくて。驚きましたが、想像と違うのもまた面白いと思いました。こういうことがあるので、なかなか食べず嫌いができないのですよね。困りものです。(野菜は例外ですけれども☆)
着色料どうのこうのは気にしません。現代社会で気にしたら負けですからね。
とにかく、おいしかったのでNo Problem!
おいしいは世の普遍の真理であり、果てには科学の発展を支えていますから。
もう、本当にすごいのです。
ええ、素晴らしい。
……感動すると語彙が無くなるのも仕方ありませんよね。はい。
クラスメイトの方曰く「こんびにで購入した」とのことでしたから、
こんびにとはどこにあるのでしょうか?
と。
ちゃんと尋ねて、携帯で調べていただいて、リサーチは完璧だったのです。
そういうわけで、今日の夕食と桜餅を購入して帰宅しました。
ところで、人間の三大欲求をご存じでしょうか?
そのとおり。
睡眠欲、読書欲、清潔欲ですね。
……あ。いえ。間違えました。
食欲とかもありますよね、確か。
実はわたし、三カ月間、水と補助栄養食と飴で生存した実績があります。
生き残れるものですよ、案外。普段は温和という言葉がよく似合う両親から、しっかりと咎められましたが。
しかし、あのですね。
言い訳をさせていただきますと、どうしようもないのではないかとも思えてしまうのです。
幼いころ、他人様の食事風景を眺めているときに気がつきました。
美味しそうとは思うものの、自分が食べたいとは思っていない事実に。
私の三大欲求に食欲は含まれていないのかもしれません。人間のはずなのですけどね。おかしいですね。
わたしは人間ではないのかもしれない……。と思考が飛躍しましたが、冷静に考えてみましょう。脳はブドウ糖があれば動きます。活動のための栄養摂取を食事と呼ぶのなら、補助栄養食も飴も食事です。
そう、私は人間なのです。
発想の蓋然性、大切です。
深く息を吸うと、こんびにで一緒に買っておいた緑茶の優しい匂いが鼻腔に流れ込みます。ちなみに、宿題もシャワーも済ませたので、のんびりしているところです。
全力の高質な試行とこの休憩。
ちびが学校でフル稼働できる最高機密です。
ふふふ……。ちゃんと買ったその日のうちに食べますよ。
こういったものは冷凍すると水分が飛んでしまいますし、味も落ちてしまうのです。
わざわざ食べるために買ったのですから。
おいしいものは、おいしく食べるべきなのですから!!
ところで。
学校でいただいたときは気にする余裕を持ち合わせていなかったのですが、桜餅の、この特有の芳香の由来は何でしょう?
“桜餅”というほどですから、お餅のピンク色と桜の葉っぱが由来であるということは想像に難くありません。また、匂いの元は、お餅部分ではなさそうなので葉っぱだろうとは予想がつきます。
はい。葉をちぎって嗅いでみると、わかります。この匂いですね。
けれど、一般の桜の葉……ここまで匂い、強かったでしょうか?
日本の桜は品種改良を繰り返して完成したソメイヨシノがほとんどである、程度の知識はあります。
特殊な事象に限らず広いシーンで成立する内容のことを“一般”というので、このとき、“桜並木”として有名な、日本の一般的な桜とはソメイヨシノであると認識できます。
が、そこまでです。
実際、葉や花を観察すると、桜並木の木々はどれも同じ種類のもの、あるいは、類似する種類であると判断します。わたしの記憶に頼るならば。
しかし、そもそも道に咲く桜の葉はここまで大きくありませんよね、おそらく。
私の視線の高さも多少は関係あるかもしれませんけれど、それを考慮しても……いえ、考慮すると同じくらいの大きさのような気がしてきました。
どちらもわたしのてのひら程度の大きさですよね、おそらく。
うーん、違いは芳香の差のほかにあるのでしょうか……?
この違和感。桜の葉が桜餅に使われていると仮定すれば、可能性はふたつ。
ソメイヨシノの葉が加工されたか。
ソメイヨシノではない桜の葉が使用されているか。
こちらのどちらかでしょう。
日本に生きる桜においてソメイヨシノが多いだけであって、他の品種の桜だって生息していると思うのです。日本と言えばサクラ! というイメージが強いですし、たくさんあるうちのひとつだけが有名というのはよく聞きますし、十分あり得ることです。はい。
こちらの疑問については、スマートホンなる文明の利器を手にしたクラスメイトに明日当たり尋ねてみることにしましょう。
それでは、桜餅のこの緑色の葉が桜の一種のものだとして。
疑問がひとつ。
桜餅の“餅”がなぜピンク色なのか。
あ、お待ちください。
そういえば、毒性はありませんよね? 何も気にせず食べてしまいました。いえいえ、毒性があるものは売りませんよね。おいしいものを食べて死ぬなら本望に近いですが、まだまだやりたいことありますから。
はい。こちらもクラスメイトに尋ねることにいたしましょう。
ということで、あらためまして。
桜餅の“餅”がなぜピンク色なのか。
お餅はもち米からつくられるので、何も加工しなければ白いままですよね。
では、なぜ白からピンクにするのか。ピンクにする必要があるのか。
おや? 「必要がある」とは言いすぎでしょうか?
この世のすべての桜餅を拝見したわけではありません。黒くないカラスがいないといいきれないように、ピンク色でない桜餅の存在を否定できません。
……うーむ。
ピンク色であることは桜の花びらの色を連想できるようにするためだと思いましたが、まずは「ピンク色ではない桜餅」が存在しないことを確かめなければ……
そうして栗花落はアマゾンの奥地へと旅立つための隊員を集めることに――
なんてことはしませんよ。
自分の体力についてよくわかっておりますので。
そもそもなぜ和菓子の一種について調べるために海外へ赴くのでしょうか。無駄足でしかありません。
ひとまず、今は桜餅と緑茶の相性に浸っていることにします。
桜餅の謎よりも、おいしいものを楽しむことだって大切なのですから。