ぼくはセロ、せいごいちねんのあかちゃんです
この世界に転生してから一年が経った。
長かったように聞こえるが、実は割とあっという間に過ぎていた。
だってずっと寝てたからね。
体力がないせいか、赤ちゃんの体というのは起きているときと眠っているときのスパンが随分短い。
ちょっと考え事をしているだけですぐに眠くなってきてしまう。起きていられるのは精々2,3時間が関の山だ。
こうなると自分ではどうしようも無いので思いっきり寝ることにしている。
堂々と五度寝六度寝が許される赤ちゃん生活、最高です。
・・・けど、おれだって日がな一日惰眠をむさぼっていたわけじゃない。
起きているときはちゃんとこの世界の言語を学ぼうと脳をフル回転させていた。まず言葉を知らないと何も始まらないからね。
具体的にはこの家に住む人々、つまり家族の会話を必死に翻訳したんだ。
最初の一か月くらいは本当に何もわからなかった。単語とか名詞とかの予備知識がなかったから、まるで宇宙人の会話を聞いているみたいだった。
けど、半年くらい経ったころからなんとなく意味が分かるようになってきて、そこからの成長が速かった。コツを覚えてからどんどんわかる単語とかが増えてきて、会話を聞くのがすごく楽しくなってきたのを覚えてる。
スピー○ラー二ングって本当に効果があったんだね。
そのおかげで、この1年間の間におれはこの家についてだいぶ知ることができた。
この家―――フィーレギオン家には、現在おれを含め六人の人々が暮らしている。一人ずつ紹介していこう。
まず、おれの名前はセロというらしい。正しくはセリオロード=フィーレギオン、“セロ”というのは愛称だ。
おれはフィーレギオン家の次男坊として生まれた。この家はなかなかいい身分の家系らしく、その生活は贅沢とはいかないまでも裕福だ。おれの着ている服などは全部肌に優しい柔らかくて上等な生地の布が使われている。食事の時にはおれも食卓のそばに置かれるのだが、その内容も質素だがちゃんとしていた。そこからもこの家が恵まれていることがわかるだろう。暮らしに困らない家に生まれることができたなんて、おれは運がいい。
一年前に目覚めたとき最初に出会ったあの男女はおれの両親だったようだ。
男の方の・・・いや父親の名前はレンリフォード=フィーレギオン。母親の名前はイリシア=フィーレギオンだ。この名前を覚えるというのが実は結構大変で、母親のイリシアはまだよかったが父親のレンリフォードのほうはレンリと略して呼ばれるため、ちゃんとしたフルネームを覚えるのに時間がかかった。
レンリはフィーレギオン家の家長であり、軍人だ。雰囲気も体も武人らしく引き締まっており、その所作一つ一つに威厳が見て取れる。
イリシアは、そんなレンリを支える優しい母親だ。
最初の印象通り貞淑で包容力があり、彼女のそばにいると自然と安心する。
おおよそ日本人が求める女性の理想像といっても過言ないのではなかろうか。
家族の中で一番おれの近くにいる時間が長く、おれがちょっとでもぐずりだせばすぐにあやしてくれる。
そのたびに甘くほんのりとした香りが漂ってきて、止めようのない時限爆弾のようなおれの泣き声もすぐに鎮火されるのだ。
おかげでおれは、異世界という常識の域を軽くぶっちぎった環境でもこうして落ち着いていられるのだろう。ありがたいことだ。
他に、おれには兄弟がふたりいる。兄と姉が一人ずつだ。
兄の名前はグレンバート=フィーレギオン、年齢はだいたい十歳ちょっとくらいだ。家族からはグレンと呼ばれている。
日本でいえばまだ小学五、六年くらいのはずだが、すでに分別をわきまえた様子の落ち着いた少年だ。まだ幼いながらもどこか父レンリに似た、正義感の強そうな顔つきには、しっかり父の雰囲気を受け継いでいる。将来は美青年になること間違いなしだろう。
一方の姉の名前は、クリスカ=フィーレギオン、年は七つほど。
グレンとは違い、姉のほうは年相応に無邪気で活発な子だ。なにかと走り回っていることが多く、おれのところにくるとよくほっぺをつんつんとつついてくる。正直うるさい。だが鬱陶しいというほどでもなく、むしろ可愛らしいくらいだ。
ただ、どっかから見つけてきたミミズみたいな虫をおれのところまで持ってくるのだけは勘弁してほしい。
あと、この家にはひとりメイドがいる。名前はガーベラ。
仕事をてきぱきとこなすできる系美女で、おっぱいが大きい。おれの世話も面倒がらずに丁寧にやってくれるのでおれはこのお姉さんが大好きだ。おっぱいも大きいし。
彼女の料理は絶品らしいから、おれも早く食べれるようになりたい。
とまあ、こんな感じだろうか。
少なくとも、おれはいま充実した赤ん坊ライフを送っている。
かっこいい父、優しい母、頼れそうな兄、かわいい姉、おっぱいが大きいメイドさん。
改めて、すごく恵まれた環境に生まれ変われたと思う。
異世界転生なんて正直不安でしかなかったが、これならおれも人生の勝ち組コースを突っ走れるのではないだろうか。
明日もいい日になりそうだ。
そんなことを考えながら、おれは本日七回目の眠りについた。
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