二十三
友達が、同じ学校の女子と付き合った。文化祭で見たから、俺はその女子を知ってる。
名前は確か、大和 槐だったか?
俺は那月達とは違う学校に通っていて、海沿いに建っている進学校に通っている。
見た目のせいかあまり信じられないが、頭は割と良い。
そしてこれもまた見た目のせいか、俺に近づく奴はこの学校には多くなく、限られた人間しか話しかけてこない。そいつらもガラが悪そうに見える、ていうか本当に悪い。喧嘩強い上に頭も良いという俺よりやばい奴ら。
今日はそんな赤石 宗介こと俺の話をしよう。
「宗介〜帰ろうや」
「今日は部活、悪ぃな」
「あぁ〜そっか、んじゃーな」
「お〜」
俺はバスケ部で、自分で言うのもなんだが上手い方なので一年でスタメン入りもしている。
俺は体育館に行く前に部室へ向かって練習着に着替えに行った。
(部活〜部活〜♪)
意味分かんない歌を心の中で歌いながら、俺は体育館へ向かった。
うちの学校の体育館は異常に大きく、二つの部活が同時並行で使えるほどに大きかった。
ついでに今日はバスケ部と女子のバトミントン部。
「ほんじゃとりあえず外周〜!」
「「はいっ!!」」
外周を10周したところで体育館での場面を考えたパスやらシュートやらを練習した。しばしの休憩時間、部員達が隣でやってる女子バトミントン部を見ていた。
「いやぁ〜やっぱ可愛いなあ!古谷 秋穂」
「眼福眼福」
「あれで16だからなぁ」
「しかも巨乳だぁ...」
「夢が詰まっていますなぁ」
部員達の目線は一人の女子に向けられていた。
その女子は、他の女子と一線を画すほど可愛くかった。
整った目鼻立ち、細い腰、大きなお胸様、そして地毛の茶色い髪。まるで外国人のようだ。
「なぁなぁ赤石、やっぱ可愛いと思うよなぁ?」
「ん?おぉ、良いんじゃねーか?」
「おい、何でちょっと興味無さげなんだよ」
「いや可愛いのは知ってるしなぁ」
「そうだけどさぁ〜見てて飽きないっつーか?おっ!跳んだぁ!」
「あんま騒ぐと見てんのバレんぞ」
俺はボールを持って一人で3Pのシュート練習を始めた。最近精度が落ち気味だからやっとかないとな。
部活も終わり、19時。俺は体育館のモップがけをしていた。
(もうちょっとやりてぇな...でもバスケコートってこの辺ねぇんだよな...)
帰りにもうひと練習していくかどうかを決めかねていると、女子バトミント部の方から俺に向かって声を荒げた奴がいた。
「危ない避けて!」
「ん?」
声のした方を見ると、バトミントンのシャトルがこちらに飛んで来ていた。
と言っても、別に防げない程近い距離にあったわけじゃないので咄嗟に片手で防ごうと顔の前に手をやった。
すると、急にバトミントンのラケットがシャトルと俺の顔の間に入ってきて、事故を未然に防いだ。
ラケットの持ち主を見てみると、そいつは先程部員に騒がれていた古谷だった。古谷はまるで何も起こっていないかのような真顔でジッとこちらを見つめている。
「お...おぉ...」
「大丈夫?」
「あ...おう」
「ん」
古谷は安否を確認してから立ち去った。
部員達の元に戻ると、心配してくれる声と羨ましがる声と二分されていた。
いや何で二分しとん?心配せぇよ全員。
「かっこよかったなぁ今の古谷さん」
「立ち去り方も可憐だ」
「お前ら...一応顔面にシャトル飛んで来た俺に心配の言葉はねぇのか?」
「大丈夫だろ?」
「死ななきゃいいんだ」
「殺すぞお前ら」
俺は残りのモップがけを終わらせて、暗い夜道を歩いて家に帰った。
すると、校門の前辺りに古谷が立っていた。
俺はそのまま素通りしようとしたが、古谷の前に来た辺りで、助けてもらった時お礼を言えてなかったことを思い出した。
「あ、なぁ」
「........?」
古谷は突然話しかけた俺の方を見て、首を傾げた。暗くても分かるくらい美人だ。
「ありがとな、さっき」
「...あぁ、うん」
「お礼、言い忘れてたの思い出した。ありがと」
「大丈夫だった?」
「お陰様で」
「そっか」
「じゃ、気を付けてな」
俺はそれだけ言って満足したので、家路に着いた。
こっちメインの展開になるかもしれないです。
気に入って頂けたらなぁと思いつつ、那月と槐の話も書いていきます。
今後ともご贔屓に...。




