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夏の樹  作者: 粥
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(えんじゅ)〜!おはよっ!」

「おはよ、美咲(みさき)

「宿題やった?四限の数学のやつ」

「やったけど」

「見せてっ!」

「また?いつになったら自分でやって来るのかな?君は」

「ごめん!今日で最後!」

「それ、毎回言ってるからね。...ジュース一本で許してあげよう」

「わぁ〜い!ありがと槐!大好きだ〜!」

「まったく...」


ここはとある田舎町の中にある高校。

私は、その高校の一年生、大和(やまと) (えんじゅ)。名前も苗字も変わっているねと言われるが、私は気に入っている。


そして横にいる小さな女の子は私の中学からの友達の美咲。世話がやけるが、何だかんだ仲良くやっている。


学校に着くと、私は自席にて次の授業の準備をした。

英語からの様なので、自分のロッカーから英語の教科書やノートを取り出す。


(英語、英語...)


なかなか見つからない英語の教材を探していると、横のロッカーのドアが開いた。


「........」

「........」


ロッカーを開けていたのは同じクラスの長谷(はせ)くんだった。

彼は、所謂(いわゆる)根暗のボッチで、友達という友達はいない様で、いつも自分の席に座って常時めんどくさそうな顔をして、ボーッと外を眺めている。

彼について唯一知っている事といえば、下校がとにかく早いという事だけだった。帰りのHRが終わると、すぐに荷物を纏めて校門までダッシュしている光景をよく見る。


(まぁ、私には関係の無いことか...)


興味も無いので、私はようやく見つけた次の授業の教材と共に席へ座った。


教師の妙に眠くなる授業を何とか乗り切って放課後、私はとある場所へ急いだ。


「おっ、来た来た。槐ちゃ〜ん!」

「どうも」

「相変わらず愛想が無いねぇ。ま、バスケに愛想なんていらねぇんだけどな」


筋肉隆々な長身の男はケラケラと笑った。

私は放課後、体を動かすためにバスケットコートがある広いこの公園によく来ては、汗を流して帰るのが日課になっていた。

元々好きだったバスケと、活気があって和気藹々に仲間と行う試合はとても楽しいので、私は気に入っている。


「槐ちゃん、今日はどっちのチームに入る?」

「じゃあ、あっちで」

「おっけ!負けねぇよ〜?」

「こっちこそ」


ここには大学生や、私と同い年くらいの年齢の人たちが男女半々で集まっている。女性だけのチームでやっても良いのだが、あまり歯ごたえが無いので男性チームに混ざってしまう。


「ほんじゃあ、怪我はすんなよ!ティップオフ!!」


コートの真ん中でボールが高々と空中へ投げられ、それを各チーム代表で選ばれた一人が奪い合う。

ボールを最初に制したのはこちらのチームだ。


「近藤さん!パス!」

「はいよっ!」


ボールはあちこちにコートを駆け巡り、それに合わせる様に人も移動していく。その中でいかに連携が取れているかが勝利に重要なカギになってくる。


「大和!」

「ナイス」


私の元にボールが来て、一人が私の前に立った。それはコートに入った時に話しかけて来た男性だ。


「槐ちゃん、悪いけどボールはもらうよ」

「あげないし、リングに入れさせて貰う」


私たちは今、コートの右端に位置していた。線ギリギリと言ったところで、もう少しで出てしまいそうだ。


空いている左から抜いていくのが常套手段である。ということで、


(左っ!)

「そうだよなっ!」


私は左に即座に走り出そうとした。だがそれは読まれていて、相手も私に合わせて動いた。だがおかげで右が人一人分通れるくらいに空いた。

そこで私は完全に相手の体重が右足に乗ったところを見計らって、一回転して相手を抜き去るロールターンで右側から抜いた。


「おっ...!?」

「よしっ!」


完全に左に体が動いた状態から既に右に切り替えしている私に追い付くのは不可能。

故に、ゴール下までそのまま難なく走り抜け、レイアップシュートで一点入れた。


戻って来た時には悔しそうに笑っていた。


「いやぁ〜腕あげたなぁ!前までだったら無理やり左から攻めてたろ?」

「まぁね。私も負けてばっかは嫌だし」

「はっはは!うっし!取られちまった悪りぃ!取り返すぞぉ〜!」


あっという間に15分経って試合を終了した。

みんな息が上がっていて、私も流石に肩で息をする羽目になった。試合の結果は私たちの勝ちだったが、一点差で勝ったのであまり喜ばしい勝ち方では無い。もっと大差を付けたかった...。


「槐ちゃん、学校どう?」

「梨沙さん」


綺麗な金髪にくわえタバコ、ピッタリとしたスキニーパンツに露出高めのタンクトップでベンチに座っている女性は、梨沙(りさ)さんと言って近くの大学に通っている。

バスケに誘ってくれたのも実は梨沙さんで、今ではお姉ちゃん的存在である。


梨沙さんの足の間に挟まる様にしてコートの床に直接体育座りしながら、私は話を続けた。


「学校、ですか。特に大して面白くも無いです」

「好きな人とかいないの?それだけでも十分楽しくなるよ?」

「好きな人ですか...。いないですね」

「まぁ確かに、槐ちゃんに見合う男の子が高校にいる様にも思えないけどね」

「どういう意味ですか?」

「槐ちゃんは、大人っぽ過ぎるからね。あまり男子に興味無さそうだ」

「まぁ、特に興味は無いですけど」

「恋愛はしたいと思わないの?」

「出来たら良いな、とは思っています。でもやっぱり、良い人はいません」

「ここの中では?槐ちゃん人気だし、可愛いから選びたい放題だよ?」

「いないです、それにここにはバスケしに来てるんですから」

「そっかぁ〜」


梨沙さんはニヤニヤしている。この顔は、いつも私を不快にさせる。

今のところ、八話まで書いております。

今まで、途中で書くのに飽きてしまって最後まで書けないという事が多々あったので、今作品がそうならないよう精進いたします。

ですがもし仮にそうなってしまった時の為に、今先に謝っておきます。

申し訳ありません。

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