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仰いだ空のリビン神  作者: ジーナ・ベル
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しがらみを切り裂いたなら

養育所に通う歳になったヨヅキ。

物心付いたら、妹が生まれていた。その前後にも両親は、やかましく怒鳴り合っては、ヨヅキの睡眠を邪魔していた。まあ、生まれたばかりの子供ができれば、いちいちこちらへの干渉が減ってはいた。

かの大国の軍人が、休暇と補給でアマガを回遊している春。

最近見え出した幽霊の次に面倒な男の集団であるな。と思って横目を向けていた。

軍用車両の一人の兵士が社内にヨヅキを引っ張り上げた。確かドガ語で「嬢ちゃん、一人で何してる。」

白い征服を着た5人の兵士の手が頭を撫で回す。

「ナーゴ探してる。」と地面を指さした。

その頃、浮遊霊がよく通る砂利道を見つつ、黒い尻尾をフリフリしている猫をサワサワとして、孤独を癒す習慣があった。兵士達は、ヨヅキを車から降ろすと、「車に気をつけてな。」と促すし連れだって去って行った。すごく血がしたたっている臭いを嗅いだような気分に陥ってしまっていた。

遠い海から入国しているドガ大国の戦艦が目に入る度、ヨヅキは、赤ん坊の妹とたった二人残されていた家で、4歳の自分に焦燥するばかりだ。

「軍隊にはきっと、私の探してる神様は居ないんだな。」と確信を強めている心境でいる。

俯くのにも飽きたな。」と、雲が斑にあった空が、茜に染まった時刻。酔った父親と虚ろな目をした母親が帰宅した。

また、罵り合いが始まりそうなまま、夕食をとる構えをした。

そして、夜明けまで家の周囲では異形が唸って徘徊しているのである。

対抗策が無い訳では無い。水底に没しながら、腹に力を込め、耳から空気を噴出するように、気合を放つのである。

すると、ケケケケともキキキキとも捉えられる怪音を一定期間止める事ができる。

カーテンも無い家の中から、あの世へでも続いていそうな真っ暗な夜景を睨んでみた。

安心など無いこの世を憂いながら、独立した生活を送れる日を想像させてくれる朝日を待って眠りにつく。

もう、幾度こんな思いを抱いて暮らすのだろう。自分の核を心の中で確かめていた。

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