リビン神はお金を集めるだろうか
ヨヅキの信じてるリビン神とタギの信じてる神は、別物なんだ。そう気づいた。
ひたすら祈れ、祈れと祈祷をごりごりと押す周囲の大人達。
こんな事をするために生まれたんじゃない。この庵を出よう。それで済む。そうであってほしい。
真の神なら、祈祷やらでお金を、なにも勘がはたらかない人達から、貰わずとも生かしてくれるのだろう。
こんな家系に生れ落ちたのも、役目を背負わされたんだ。ヨヅキはこくこくとし、空を眺めては、ため息をついては少し、子供たらしめられているのを、舗装もされていない歩道を通る学生をうらやんでいた。
その時ふいに、「お姉さん達、警察に通報して私をたすけて。」と二人の女学生になげかけた。
二人は「どうして?」と当然尋ねてきた。「御飯をもらえないし、お酒を飲めって、意地悪されるの。」と
返す。
「イタズラじゃなさそうね。」その日の夕方、ヨヅキはタギから警察官へと引き取られた。
当時の実の父母は、庵からそう遠くない集落におり、その実家へと帰された。
タギは帰る前に、禍々しい目で「お前は知らん。頼るなよ。」と吐き捨てられていたが。
「もうユレスタ神様を利用しなくて済むからうれしいよ。」と小声で口答えしてみた。