私の姉さん
「ねえ、おばあちゃん見てお人形さん」
私の姉が私を見てそう言ったらしい。
あれは15年前。私が2歳の頃の話だ。
「深雪ちゃん。今日はカレーにしましょうね」
私の姉、深雪は幼くして両親を亡くし母方の祖父母が育てていた。いつものように買い物に行き。そして公園に寄ったそうだ。
「おばあちゃん、あのダンボールなに?」
公園の真ん中にダンボールが置いてあったそうだ。そう…その中に私が入ってたのだ。
「梓どうしたの?ぼーっとして」
「あー、春美。いや、昔のこと思いだしててね」
私の友達の春美。幼稚園からの付き合いだ。
「昔って、拾われたこと?」
「そうそう…」
春美には小さい頃に話してしまい、今は内密にしている。
「しっかし、よかったよな変態のロリコンとかに拾われなくて」
「確かに…今考えると私は、運が良いのかもね」
これがもし、春美の言うとおり変な人に拾われてたら…
「親とか探さないの?」
「親は…家族は私を拾ってくれた。深雪達だから…」
私は、深雪達に一生を捧げるつもりだ。
いつものように放課後、一つ上の姉、深雪を迎えに教室へ来た。「お姉ちゃん。帰ろう」
お姉ちゃんは私に気づき
「あー…私の愛しき梓」
私に抱きついてきた。ちなみにこれはいつものことである。
「はいはい。可愛い妹が来ましたよ」
姉は甘えん坊さんである。
「ねえお姉ちゃん。なんで、私を最初に見てお人形って言ったの?」
「それはねえ。可愛いくて、可愛いくて、可愛いくて?」
「可愛いしか理由ないじゃん…」
はあ…まったく。だけど私は、このような姉とのやりとりが楽しくて仕方ないのだ。
「ジジイ帰ったぞ」
「だから、おじいちゃんと呼べと何度言ったら分かるんだ」
なぜか姉はおじいちゃんと喧嘩している。
「なんで、喧嘩してるの?」
「……してるの見られた」
私はそれ以上言えなかった。うん。仕方ない思春期だもん。
「はあ…まさか姉さんが」
ちなみに姉さんはお姉ちゃんと呼んでほしいので。お姉ちゃんと呼んでいる。
そして、翌日。
理科の実験で使う野菜を収穫してほしいと、春美と屋上に来た。
「なんか、授業中にこうして廊下歩くのドキドキしない?」
「それは…まあなくはないね」
そう、他愛ない話をしてたら屋上に付いた。
「さあーて、収穫する野菜は…」
私が角を曲がると、そこには姉さんが‘女の子’とキスしていた…
「梓…なんで、授業中なのに」
「お姉ちゃんこそ…なんで…」
私は、姉さんの以外な一面を目撃してしまった…