６－訓練
この小説を読んでくださった方、ブックマークしてくれた方、本当にありがとうございます！
――ダンジョンが完成しましたのであなたに与えられた次のタスクを説明します――
「次のタスク？疲れたから休ませてよ、ドラドス」
――やはり精神改造を行うべきですね――
「いや、それは止めて！分かったから、次は何すりゃ良いのさ！」
――あなたの次のタスクは、《試練》を突破する事です――
「試練？何のために？」
――ミジンコ以下の思考力しかないあなたの作ったダンジョンなど誰が信用出来るのですか？ブリッジ・オブ・リトリオルは大変重要です。その守護をするのですから、守護足りうるかどうかを見定めるのは当然の事です――
「つまり僕が信用出来るかどうかの試験ってこと？」
――そういうことになります。もちろん失敗は許されません――
「失敗したら……殺される？」
――安心してください。そんなことは致しません。元の世界にお帰りいただくだけです――
「じゃあ僕的には失敗したほうがいい気がするんだけど……ちょっと待って、ドラドス、僕の体は？」
――もちろんそのままですが？残念ですが元の体は汚染物質なので核魔法で浄化され復元出来ない状態にあります――
「ですよね―。こんなキモいクラゲの体のまま戻っても意味ないよ」
――意志がお決まりのようですので《試練》の内容をお伝えしようと思うのですが、その前に今までは守秘義務によりお伝え出来なかったことがあるので先にお伝え致します――
「うん、分かった」
――実はこのダンジョンは魔王領内にあり、本来のダンジョンとしての働きを持っていません――
「へ？じゃあ何のために僕は頑張ってダンジョンを作ったのさ？」
――それは、ダンジョンマスターとして最低条件を満たしているかどうかを確認するために必要だったからです。見ず知らずのものにダンジョンを任せるなど愚の骨頂だと思いませんか？――
「なるほど。ってことは、試練を受けられる僕は合格？」
――自惚れないで下さい。あなたは本当に最低限の能力しか持っていません。私ならゴミと判断していたでしょう。寛大なる魔王軍の幹部達に感謝すべきです――
「うわっ結構僕ギリギリだったのか」
――私に言わせれば、あなたは限りなくアウトに近いアウトですが――
「アウトじゃないか！」
――ですから、感謝しながら、《試練》を受けてください――
「そうするよ」
――では改めて、《試練》の内容を説明します――
――《試練》では、あなたの作ったダンジョンに魔王軍幹部の選んだ様々な生物が数回に分けて送り込まれます。あなたがダンジョン内の侵入者を殺害、もしくはダンジョン外に逃走させたならば、《試練》は成功。ただし、あなたが死亡、もしくはダンジョンの外に移動した時点で《試練》は失敗と見なされます――
「え？僕死ぬの？」
――ご安心ください。死亡した時点で蘇生が行われます。ただし、損なわれた箇所は適当な廃材で補われることがあります。あなたにも分かるように言うならば、『もっと気色悪く』なります――
「絶対嫌だ……！」
――また、今回の《試練》で生物を殺害した場合も、DPは支給されますので、途中でダンジョンを改造する事も可能です――
「えっと、ドラドス、質問！その改造っていつやればいいの？」
――基本的にいつでも可能ですが、現実的に考えるならば送り込む幹部が代わるときにするのが良いでしょう。交代にはおよそ12時間程度かかることが予想されますが、幹部のお気持ち次第ですのでその時間が変動する事は大いに考えられるでしょう――
――もっとも、改造が出来るほどの気力が残っていればの話ですが――
「うわ、どんだけやばいんだよ」
――ちなみに、情報によりますと試練の第一ウェーブは今から10時間後とのことです。それまでは、どうぞごゆるりとお過ごしください――
「ゆるりと過ごせるわけ無いじゃん……」
――今調べたところ、あなたの体は魔素を養分としますが、動物肉なども味わうことが出来るようです。今ならヘルドラゴン肉のステーキや233年もののワインなど素晴らしい晩餐をご用意出来ますが？――
「ドラドスがやけに優しいと思ったら最後の晩餐じゃないか……」
「なんかもう吹っ切れた。寝よう。」
――それがもっとも良い選択でしょう。それでは、良い夢を――
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