05ー完成
大変お待たせいたしました!
前回までのあらすじ
突然異世界に拉致られた主人公は、ものの数分で体をクラゲっぽくされ、ついでに元の人間の体を売られてしまった!
その後なんだかんだでダンジョンを作ることになった主人公は取り敢えず跳躍地雷を買うのだった。
――跳躍地雷ですが、どこに設置するのですか?――
「えーっと、入り口かな?」
――はあ、あなたの知能はゴブリンよりひどいようです。入り口に仕掛けたところで殺せるのは先行部隊のみ。より多数を殺傷する為にも小部屋の中心に設置するべきです――
「なるほどね~。確かにそうだ」
――跳躍地雷だけではあなたを守ることは難しいでしょう。他にあなたが記憶している兵器はありますか?――
「うーん、記憶にあるのはあるけど、実際見た奴なんて一つもないんだよな」
――実際見たかどうかは全く持って関係ありません。取り敢えず思いつくものを挙げていってください――
「取り敢えず思いつくもの……あ、セントリーガンとかどうかな?」
――セントリーガン……設置型の機関銃ですか。悪くないでしょう。500DPで設置可能です――
「んじゃあこれを……どこに設置すべきなんだろう?……入り口はダメだよな~うーむ」
「分かった!長い通路の先に設置しよう!これなら敵にたくさん撃てる!」
――遅すぎます。そこに至るまでにどれだけの時間をかけているのですか。これでは咄嗟の判断ができずあなたは死にます――
「まあ取り敢えずこれで設置完了だな!……あれ?」
キュイーンダダダダダダダダッ
グチュグチュグチュッ
「うわっちょっと!撃たれてる撃たれてる!めっちゃ貫通してる!ヘルプ!」
――なかなか良い威力です。回路の接続に成功しましたので、これから私が操作することにしましょう。あと、そのクラゲ型の体はジェル状の魔素の集合体ですので、そのうち治ります――
「死ぬかと思ったよ。うわっ本当に治ってきてる……キモい。ってかスフィア大丈夫なの?」
――見て分かると思いますが、埋め込まれたスフィアは所有者の体組織と同じ組成になります。脳みその足りないあなたに理解できるように言うなら、『取り敢えず大丈夫』です――
「大丈夫なの?なら良かった」
――馬鹿ですね。少し考えれば分かると思うのですが……。それと、あなたにはまだ301DP残っていますが、どうしますか?――
「そのポイントとっておくことは出来る?これだけあれば大丈夫な気がするんだけど」
――残念です。あなたには失望しました。探索者には大盾持ちが少なくないというのにこんなトラップだけで対抗しようとするなんて。全裸でブラッドウルフの縄張りに野営するくらい自殺行為なのだとなぜ分からないのですか?――
「ああ、そうか大盾があると全部防がれるのか……気づかなかった」
――あなたほど間抜けな生物はいないのではないでしょうか?早く対策手段を考えてください――
「盾に効果があるもの、うーん、毒ガス?」
――及第点といったところでしょうか。対魔法の毒ガスはすでに充満していますので、生体的な毒ガスを追加するべきでしょう――
「え?ちょっと待って、いま毒ガスが充満してるって言った?」
――ええ。あなたがダンジョンを掘る際に大量に汚染物質をまき散らしましたが?――
「あのシューっていってた青い煙は毒ガスだったの!?」
――あなたは話を聞いていなかったのですか?その気体はpMp-2と強い魔力吸収性を持っていて非常に強い毒ガスです。残念ながらあなたには効きませんが――
「そうっだったのか……ますますこのクラゲの体が気持ち悪くなってきた」
――そんなくだらないことを言う暇があったら早く毒ガス系の兵器を思い出してください――
「毒ガスと言えば、テレビでVXガスは聞いたことあるなー」
――VXガス……C11H26NO2PS……興味深い物質です。まさか魔素を化合していない毒物が存在していたとは。……この物質を充満させるにはDPが足りません。よって、毒ガス地雷としてVXガスを組み込むのが得策でしょう。一個250DPです――
「それじゃあそれも地雷だし小部屋に置くのがいいよね。他のトラップは盾があると困るんだから、この罠が最初に引っかかるように入り口に近い方の小部屋に置くのが良いのかな?」
――そういうことです――
「良し!これで設置完了!あとはDPも温存した方がいいかな」
――それでは、ダンジョンが完成しました。迷宮型、小部屋3個、入り口一個、トラップ3個、通路多数、合計面積75平方メートル、残りDPは51です――
「やっと完成したー!疲れた~」
VXガスの化学式とかはWikipediaからの引用です