転校生
誤字脱字があったらすいません。
楽しんで読んでいただけたら幸いです。
更新は不定期です。
悪魔。キリスト教で人の心を迷わし悪の道へ誘うとするもの。堕天使とも呼ばれる。
夏になるとホラーのジャンルで悪魔のお払いなどをテレビでやっているのを時々目にする。
だが、あくまで悪魔はキリスト教の話。日本には悪魔はいない。そう、いないはずなのだ。
「ヤベッ、寝坊した」
布団から飛び起きて、ワイシャツを着て、ズボンのベルトを締める。着替える前にトースターに入れておいたパンが焼き上がり、それを口にしながら身だしなみを整える。
鞄を持って急いで家から出る。
「あら、いってらっしゃい」
近くに住んでいる菅井のおばさんに声を掛けられ、振り返って頭だけ下げておく。一人暮らしになってからとてもお世話になっている母親代わりのおばさんだ。
実家は愛知にあり、高校生になると同時に東京に引っ越してきて一人暮らしをしている。どうしても東京に通いたい学校があったため、高校生で家を出て、母親の友人であった菅井のおばさんに助けてもらいつつ生活をしている。
学校の階段を上っていると、色々な教室から出欠を取っている声が聞こえてきて、一層プレッシャーを掛られる。汗を拭きながら教室まで走る。
「月村隼斗。月村いないのか」
「はいっ。います!」
教室の扉を壊れんばかりの勢いで開ける。ピシッと音が鳴ったが、自分の声でかき消して誤魔化す。
「ギリギリだな。席に着け」
隼斗が席に着くと、担任の藤本拓真が名簿を教卓の上に置く。
「六月という時期だが、本校に訳あって少し遅れて入学してきた奴がいるから紹介する」藤本が教室を出る。教室内が少しざわつき始める。「男子か女子か」「訳とは何か」「頭はいいのか」など。
「可愛い子だといいな」
少しにやにやしながら前の席に座っていた土田篤が話しかけてきた。土田はわざわざ愛知から来た自分に興味を持って、とても親しくしてくれている。皆からは「つっちー」と呼ばれ、人気もそこそこある。
しばらくして、藤本が教室に入ってきた。藤本に続いて一人の女子が入ってくる。
藤本に促され、自己紹介をする。
「菅井麻衣と言います。少し遅れて入ってきましたが、よろしくお願いします」
綺麗な黒髪。スタイルも良く、自己紹介の最後の笑顔は天使のようだった。顔立ちも整っており、外見は文句なしだった。
「じゃあ、菅井はあの席に座ってくれ」
藤本が指で指したのは学級委員の隣だった。とりあえず、学級委員の隣に座らせておけば安心だろうという藤本なりの考えなのだろう。
休み時間になり、麻衣の噂は一瞬で学年に広がった。「超美人が来た」「漫画のキャラクターが飛び出てきた」などの噂が広がり、色々なクラスの男子がクラスのドアに殺到した。ドアに殺到する男子生徒を土田と眺めていると、土田が溜息をついた。
「隣が良かったー」
「名字的に無理だな」
「自分の名字がこんなにも憎いと思ったことは無いぜ」
楽しんでいただけたでしょうか。
あまり恋愛ものを書くのは得意じゃないのですが、序盤の方はまだ恋愛要素無いので多少は書きやすかったです。今後も読んでいただけると嬉しいです。