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またね。

作者: ささりんぐ

「…ふぅ」

緊張する。周りは知らない人だらけ、今までのようにはいかない。

「野添 颯太です。〜〜〜」

俺、野添颯太のぞえそうたは今年から高校生。地元から少し遠い学校のため中学までの友達はいない。

「颯太くんって言うんだ、よろしくね‼︎」

「あ、よ、、よろしく」

隣の女の子、確か名前は〝中谷なかたに 瑠美るみ

明るくてショートの髪が似合ってる元気な子、正直可愛い。

「ねえねえ、颯太くんは部活何はいるか決めた?」

「う〜ん、まだ決まってないんだよね。中谷さんは?」

「あたしもまだ笑 ってかてか中谷さんなんて他人行儀!瑠美でいいよ!」

「えっ⁉︎じゃ、じゃあ瑠美、、さん」

「あはははっもっとおかしいでしょっ笑 颯太くんって面白いんだね、瑠美でいいよ瑠美で」

「る、瑠美」

「よしっ」


「新しい学校でちょっと心配だったけど隣が颯太くんでよかった!楽しくなりそう‼︎また明日ねっ」

「うん、俺もだよ。またね。」


隣の席だったこともあり俺と瑠美はすぐ仲良くなった。俺の心配事なんかすぐに吹き飛んでクラスのみんなとも仲良くなれた。

そんなこんなであっという間に1年がすぎ進級した。

瑠美とは別のクラスになってしまったがそれなりに交流は続いていた。


〈ねえ、今度の日曜日って暇?〉

〈暇だよ、どうした?〉

〈いやあちょっと付き合ってもらいたいところがあるんだよね、、σ^_^;〉

〈別にいいよ、どこ行きたいの?〉

当時俺は瑠美の事を男友達同様に接していた

、たまに2人でどっか行くこともあったが特に気にする事は無かった。


「なあ、お前って中谷さんと付き合ってんの?」

「ん?なんだいきなり。付き合って無いけど」

「付き合ってねえの⁉︎」

「そんな驚くことか?」

それまで瑠美の事を女の子として見てきてなかった事に気がついた。瑠美の方も俺のことを男として見ていない事を分かってたからだ。

女の子、か、、、。

確かに誰から見ても可愛らしいし狙ってる男子も少なからずいるであろう容姿をしてる。

そういえばよく2人で居るけど、、そうか。付き合ってると疑われても仕方が無い。

友達以上恋人未満って奴なのかな、、


その日からだ。俺の中で瑠美の存在が大きくなってきたのは。

ふとした時に見せるあどけない表情。ちょっと意地悪した時に見せるむくれ顏。たまにちらつく大人びた雰囲気。

気がついたら俺は瑠美のことばかり考えていた。


「しょーうーたーくんっ」

「うわっ⁉︎」

「ひゃっ⁉︎」

「び、、びっくりした、、」

「こっちの方がびっくりしたよ」

最近ずっとこんな感じだ。まともに顔さえ見れない。

やっぱこれって、、、

「…好き……なのかなぁ」


自分の気持ちに気がついたけど、今の距離感で満足してるし下手に壊したくない。小心者だ。

これまでと変わったのは自分の気持ちを自覚しているかどうかだけで瑠美との関係は今まで通りだった。

2人で出かけることもあれば電話もしたりした。

正直辛かった。男として見てくれてない事もそうだがそれ以上に自分の意気地のなさには特に。

悩み明け暮れ気がついたら2年が終わっていた。

3年になって瑠美と同じクラスになれた。嬉しかったし瑠美も嬉しがってくれていてさらに嬉しかった。

だけど高3だ、今までのように遊んではいられない。俺も瑠美も進学希望でそれぞれ別の塾に通って学校以外ではほぼ会わなくなっていた。

ただ、休み時間の教室だったり移動教室行く時の廊下、階段だったりではよく話していた。


そんなある日

「あの、、颯太くん、、、」

「どうした?」

「ちょっと相談事っていうか悩み事っていうか、、あるんだけど、、、」

「俺でいいなら全然構わないよ」

「ありがと、こんなこと相談できるの颯太くんくらいだよ、えへへ」

困ったように笑う瑠美

「いいよ、話せる?」

「えっと、、〜〜〜」

え、、、?まって思考が追いつかない、、瑠美に好きな、、人、、が、、?

「え、、え〜と、、、その、付き合いたい、と思ってる?」

「その、できれば、うん。」

「じ、じゃあ告白、、とか、、?」

「その、変、かな?」

「いやいや変じゃないよ、ただ驚いちゃって」

「でも勇気が出なくて、、」

、、、ああそうか。瑠美も俺と同じ気持ちなんだ。

俺は瑠美の悲しい顔なんて見たくない、なら答えは一つじゃないか。何をまようことがある。

「大丈夫だよ、瑠美ならいけるって。そんなに可愛いんだからさ」

「で、でもでも迷惑じゃないかな」

「何が迷惑なものか!可愛い女の子に告白されるなんて迷惑なわけないじゃないか‼︎」

自分の心に蓋をしてでも瑠美の幸せそうな顔が見たいと思った。

「〜〜〜」

「う、うん。わたしがんばる。勇気出た、ありがとう颯太くん‼︎」

「おう、結果、教えてくれな」


知らなかった。瑠美に好きな人がいるなんて、あんなこと言ったけどやっぱりやだ。誰なんだろう、大丈夫かな、などと考えてたらなかなか寝れない日が続いた。

それでも俺は間違ってないと信じたい。

俺は馬鹿だろうか、俺のことを馬鹿だと言うやつがいるなら俺は馬鹿で良い。それほどまでに瑠美の事が好きになってた。


数日後

放課後教室に残るよう言われ、いよいよかと思った。

「みんな、帰ったね」

「…うん。告白、してきたよ」

「、、そう。がんばったね」

「、、、でも、、だめ、、だって、、」

「…え」

「好きな人がいるって、、、」

まさか、そんな、嘘だろ。

「断られちゃった、あはは」

涙を堪えて無理に笑顔になる瑠美。

たまらず抱きしめていた。

「えっ⁉︎」

「ごめん。でも我慢しなくていい、泣いていいよ。」

「、、でも」

「今はもう誰も見てない。今だけ胸貸すからさ、瑠美はがんばった」

「、、っ、、うぁ、、うああぁあぁあぁ」

「〜っ」

ダメだ俺が泣いちゃだめだ、泣くな俺今は我慢しろ、今だけは泣いちゃダメだ。

しばらくして収まったのか顔を上げた瑠美。

「颯太くん、、、ありがとね」

「、、、ああ」

「じ、じゃあ、またね。」

「ん、また明日」

恥ずかしかったのだろう。瑠美は早足で帰って行った。

一人教室に残された俺。もう我慢なんてできなかった。

「うああああぁあぁああぁあああぁあぁぁ」

止まらない。溢れ出る涙。

くそッくそッくそッ、俺はどうすればよかったんだよっ

俺じゃ瑠美を幸せにすることはできない。そんな事実だけが頭の中に残った。


その後暫くはあまり瑠美と話さなかったが一週間もしたら今まで通り、何も無かったかのように過ごしていた。


そのまま受験を迎え、二人とも別々の大学に受かった。


「卒業、だね」

「ああ、長いようで短かったな」

「3年間ありがとう、楽しかったよ」

「バーカ、お礼を言うのは俺の方だよ」

「あははっ」

あなたが、好きです。出会えてよかった。

あなたとの出会い、それ自体が僕の財産です。

「大学行っても連絡頂戴ね」

「おう、もちろん」

「じゃあ、、また」

「、、、またな」


大学に入ったら予想以上に忙しかった。講義、バイト、サークル活動。

次第に瑠美との連絡も少なくなっていった。

それでもたまにくる瑠美からの連絡は嬉しかった。


数年が過ぎ、俺は社会人になっていた。

そんなある日、郵便受けに手紙が入ってた。

ん?珍しいな、なんだろう。


《私達、結婚しました。》

そこにはとても幸せそうな男女が写っていた。瑠美だった。

「結婚、、はは、、、結婚したんだな、、あいつ、、、」

苗字が変わっていて差出人だけ見ても気がつかなかった。知らない苗字だ。

「〜〜っ、、、おめでとう、瑠美」

頬に一筋の涙が流れた。

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