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お転婆だったはずのミカ

お読み頂きましてありがとうございます。

「なあ、タケシ、ミカってあんなんだったっけ。あんなに落ち着いた人だったっけ?」


「ミカって、大学出たらすぐに結婚したんだよ。さらに直ぐ子供もできたし。俺も地元で見たときは、驚いたよ。めちゃくちゃ、所帯染みてて、でも、変わらないよ、中身は、相変わらず、明るいよ。おしゃべりだし。」


「そうか、いいな。でも、寂しいだろうな。俺も子供も嫁もいたけど、どっちも死んじゃったよ地震で・・・。」


「そうか、大変だったな。ミカとは逆だな、神様に聞いたところ、子供と旦那さんは無事だったんだって。ヒロムも苦労したんだな。」


「うん、両親も家も職場も家族も皆無くなってしまった。」


「・・・・。そっか。」


 こういうところは好きだな。下手な慰めをされるよりは、何倍も気持ちが伝わってくるよな。


「タケシんところは?」


「うん、聞かなかった。どっちの結果でも、神に聞いたことを後悔しそうだったし、どうしてやれることも無いからな。」


「俺、ミカにもなにかお礼をしたいんだけど、何がいいと思う?」


「そうだな、ヒロムは魔道具職人も選択しているし、MAXまでレベルアップをしているから、彼女の記憶を映像化できるような写真たてみたいなものがあればと思うんだが。」


「なんでだ。」


「うん、彼女、だんだんと子供の顔や旦那さんの顔がうまく思いだせなくなっているみたいなんだ。それがつらいって、この間、聞いたんだ。」


 イメージを映像化するのが難しいかと、思ったんだが映像を維持するほうが大変だった。ほんの少しのMPを保存しておく小さなタンクみたいなものはあるんだが、それでは、ほんの1時間くらいで消えてしまう。


 小さなタンクを応用し大きなタンクを作った俺のMPに合わせて、100万MPを溜めておける。


 少々不恰好だが、これに写真たてをくっ付けてできあがりだ。タンクを満タンにすると10年近く持つのだから、十分だろう。


 ついでに自分の分も作って、枕元に飾ってある。地震当時そのままの姿の子供と嫁さんと両親だ。4人揃った写真などないのに、頭の中で記憶が再構成してくれたらしい。


・・・・・・・・・


「これを、私に、うれしい。ありがとう。」


 彼女はさっそく、目の前でイメージを浮かび上がらせる。タンクは、俺が満タンにして渡してある。


「ほら、これが、私の旦那様。いい男でしょ。」


「これって、ナカジー?」


「あれ、知ってるんだ。そう、彼に嫁いで、私も仲嶋になったんだ。ややこしいから、旧姓で名乗っているけどね。」


 それから、延々とのろけが始る。もう1時間以上も喋っているぞ、この女。やっと、終わりそうだなと思ったら、今度は娘の自慢話を聴かされる。


・・・・・・・・・


 結局、合計2時間30分もしゃべりやがった。


「ダメだよ、彼女にその話題をふっちゃあ。結婚した当初なんて、旦那の話だけで3時間くらい、聞かされたこともあるんだから。」


 それ、先に言えよ。

すみません、短いですね。

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