大阪帝国構想
お読み頂きましてありがとうございます。
ここは、日本でいう大阪という位置にある王国の一室に、異世界から転生してきた勇者達があつめられて、重要な議案について検討するらしい。
一応、俺も魔竜に最後の留めをさした勇者として参加している。
この王国の王族の数少ない生き残りとして、ミラー王女が司会をするらしい。
「今日皆に集まってもらったのは、この世界の人族として、統一した国家を樹立すべきかどうかということを、話し合ってもらいたいのだ。先に今の現状について話しておこう。」
ミラー王女が地図を出している。うーん、似ているな、日本地図から北海道を外したような地図が出てきた。沖縄などの離島もない。
〈なあ、タケシ?この世界って・・・。〉
〈うん、おそらくパラレルワールドじゃないかな。神様もそう言っていたし。〉
「コホン、タケシ様、よろしいでしょうか?まず、ここに我が王国がございます。」
ミラー王女が、丁度大阪の辺りをさしている。
「我が王国の現状は皆さん知っていると思いますが、魔竜討伐完了直後の先日、父カガミが亡くなり、直系としては私が残っているかぎりとなっております。」
「そうすると、ミラーが女王になるわけですね。」
発言者のタケシに視線が集中する。
「我が国だけで順当に考えれば、そうなります。しかし、この獣人族の支配地域とこの妖精族の支配地域を除く、人族の支配地域では、魔竜と魔族に滅ぼされた地域もまだけっこうな人間が住んではいますが、国としてはほとんど機能していないのが現状です。」
ミラーが丁度、静岡から長野あたりを指して獣人族、新潟から神奈川あたりを指して妖精族と説明する。
「そして、この魔族の支配地域は、奴隷とされた人間が取り残されていて、援助を必要としている状況です。」
魔族の支配地域は、四国あたりらしい。
「そこで、勇者の皆さんを頂点とする、統一国家を樹立したいと思っています。この王国を解体し、勇者の皆さんは7名いらっしゃいますので、各地域ごとに領主として赴任していただき、纏める役割をしていただきます。」
「えー、めんどくさい!」
「そうよ。なんでそんなことをしなければいけないのよ。」
「もう、俺達の役目は、終わったはずだ。あとは自由にさせてくれよ!」
「えー、それはミラー一人に背負わすのかい。かわいそうじゃないか。」
「じゃ、タケシは決定ね。ごくろうさま。」
「えー、そんなー。」
どうも、勇者の皆は、ここ大阪に都を求めていないようだ。日本でも商売の街であって、国家機能なんかいらないって人間のほうが多いものな。ま、一部の偉いさんは夢をもっているみたいだが・・・。
「わかりました。私が間違っておりました。これ以上、異世界の人に背負わすべきではありませんね。では、最後に、少しだけ力を貸してください。我が王国だけでは、統一国家を樹立できないのは、お話ししたとおりです。」
そこで一呼吸置く王女さま。
「ですので、各地域でそれぞれ、現地の人々と若干の我が国からの援助だけで、国家を形成させるつもりで居ます。ですが、今、人々のよりどころは、貴方達勇者の皆さんです。ですので、各地域の地名だけでもつけて頂けないでしょうか。勇者の皆さんが命名された地名を守っていくということを人々のよりどころにしたいのです。」
「うん、それくらいなら、いいんじゃない?」
「そうね、名前をつけるくらいなら、いいわよ。」
「じゃあ、どうせなら面白い名前をつけようぜ。そうだな、例えば、この魔族が居た地域は『たぬき』とか。」
こう言うことを言い出すのは、たいていマーちゃんだな。
「讃岐から取ったのか。いいなそれ、じゃ、この王国は難波花月だな。」
さらに続けてウケ狙いに行くのがケンちゃんだ。
「じゃ、国王は代々チャーリーで。」
さらに、深く突っ込むのがシュンスケだ。
「じゃあ、チャーリー・タケシね。よかったわね。素敵な名前をつけてもらって・・・フフ。」
そして、オチを押し付けられるのは、いつもタケシだ。
「じゃあ、ここは、ヅカね。」
「えー、タカラ○ェンヌだろう。」
「素直に、タカラヅカでいいじゃない。」
意外と大阪人は、宝塚に思い入れがあるんだよな。
「ここは、ゲロだっけ。」
「ここは、確か名古屋県だったよね。」
「あれは市だろ。でも、何県だっけ、確かミカワとか言わなかったか?」
大阪人にとって、とっても近いのに名古屋はウロ覚えでしか、覚えていなかったりするんだよな。愛知県なんだけど。ここは、黙っていよう。
「じゃ、ここは徳川家康が生まれたところだから、マツダイラね。」
「じゃ、ここは江戸か?それじゃ、捻りがないな。千葉と茨城だから、チバラギっていうのはどうだ。」
・・・・・・・
ごめんなさい異世界の皆さん、こんなふうにシャレで付けてしまいました。まさか、本当にこのまま、採用されるなんて、ミラー王女も人が悪い。
作者のセンスが悪いだけです。はい。