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帽子屋のケンちゃん

お読み頂きましてありがとうございます。

 地元では、数店舗を有する有名玩具屋の長男であったケンちゃん。中学のころは、長身で甘いマスクでモッテモテだったケンちゃん。なのになぜか、異世界では、似合わない帽子ばかりを被っているケンちゃん。


 戦闘の際でも必ず、頭には被り物をしているケンちゃん。なぜだケンちゃん。それは、直ぐにわかった。頭をケガしたケンちゃんが被り物をとったのだ。ハゲしいぞケンちゃん。


 中学の時にハーレムの一角と言われたタマキもミカも目を背けている。なぜか、タケシさえも目を背けている。憧れの君が、ああなってしまったら、目も当てられないとは、このことだ。


・・・・・・・


 そんなことは、どうでもいい。俺は、ケンちゃんにも、お世話になっているお返しをしたい。でも、ケンちゃんという人間を良く知らない。そこで、またしてもタケシに相談した。


「うーん。最高の帽子を作って上げたら?」


「どうしてだ?」


 タケシが言うには、俺は帽子職人という職業を選択していて、レベルがMAXになっているのだそうな。


「最高の帽子とはなんだ?」


「そうだね。通気性が良いとか、格好が良いとか、違和感が無いとか、そしてケンちゃんに必要なものは、絶対に取れないというのが絶対条件じゃないかな。ヒロムは魔道具職人もMAXレベルだから、本人にしか取れない帽子も作れると思うよ。」


 俺は思い出せる限り、ケンちゃんが着ていた服を思い出し、いくつもの帽子を作り出した。帽子の作り方は帽子のイメージを思い描くと手順が勝手に思い浮かぶ。


 あとは、過去に日本で見た、ブランドものを参考にした。全く同じ形のものも簡単に作れるようだ。


 魔道具は簡単だ。道具の一部に魔法の呪文を書いて、使う本人からMPを吸収するようにすればいいだけだ。本当はタンクをつける方法もあるらしいのだが、帽子には使えない。


 ただ、帽子の材料や魔法の呪文を書くインクを調達するのが、大変だ。結局は大部分をタケシの『箱』の中から、出してもらった。


 特にインクは、魔物の血液を使うのだが、『箱』から死んだ魔物がまるごと出てきたのには、驚いた。あいかわらず、タケシは大雑把だ。


 タケシ曰く、魔物は防具の材料になるし、戦闘では、足元が見えなくなるほど、大量の魔物を殺したので、邪魔なんだが、いちいち、魔法を使って退けるのもめんどくさいし、MPの無駄使いなので、歩く場所を確保するために、すべて『箱』に収納していたそうだ。


・・・・・・・・


「これを俺に?ありがとう、でもなんで?」


「うん、お世話になっているから・・・。」


「それにしてもいっぱいあるな。これだけあれば、どんな服にも合いそうだな。」


・・・・・・・・


 うーん、なんで、俺の作った帽子を被ると頭の被害が拡大していくのだろう。やっぱり、頭皮からMPを取り出す呪文を書いたのが不味かったかもしれない。


 ケンちゃんは、嬉々として俺の作った帽子を使っているから、言うにも言えない。さあ、困った。

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