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同級生たちと異世界のことば

お読み頂きましてありがとうございます。


他の作品同様、基本的に主人公の1人称で物語は進んでいく予定。

 目を覚ますと、覗き込んでいる顔が6つ、それもどこかなつかしいような・・・。


「あ、目を覚ました。よかった。」


「ここは・・・どこ。俺は保田弘。」


 一応、名前は言えるから、記憶喪失ってわけではないようだ。だが、周りの景色は全く見たことが無い。ただ一面の荒野に遠くのほうに山が見えるだけだ。見渡してみても、民家どころか電線さえない。ここはいったい何処なのだろう。


「私は中島珠希よ。」

「俺は中島健一郎だ。」

「俺が猪上学です。」

「私は金井美香よ。」

「僕が松本健。」

「俺が水谷駿介だ。」


「えっ、殿中の3年6組のケンちゃん?マーちゃん?たけし?」


「ん、そういえば、3年2組に居たヤスダか、えらく老けたな。あれから20年も経てば仕方が無いか。」


「いや、あれから32年経っているよ。」


「ああ、そうか。時代が若干ズレているのかもしれないな。ちなみにヤスダは神様にどんなスキルを貰ったんだ?」


「神って、スキルってなんのこと?俺は、コンビニに行ったときに、ぱあーと光ってストンって落ちて、急に地面の上に立っていたんだ。そして、なにか黒いものを刃物で切り裂いたところ・・・・までしか、覚えていないや。」


「え、ヤスダって、地震で死ななかったのか?」


「うん、あのときは名古屋に出張でね。」


 目の前の同級生達は、目を見合わせている。ケンちゃんが頷くなり、再度話しだした。


「俺達はみんな地震で死んだんだ。」


「生きてるじゃん!」


「俺達は地震で死んだんだけど、神様がこの異世界に生まれ変わらせてくれたんだ。」


「え、ここって、異世界?地球じゃないのか?」


「ああ、ほら、魔法も使えるんだ。『灯』」


 目の前でタケシが指先に火を灯している。


「熱くないのか?」


 火に向かって手を伸ばす。あちぃ


「バカね。熱いに決まっているじゃないの。『治癒』」


 カネイさんが何かを言った途端、痛みがすっと抜けた。


・・・・・・・・


 昔の同級生達の話を聞くと、この世界は剣と魔法の世界らしい。子供の頃に流行ったSF小説のようだ。その場でタケシが神に聞いたところ、俺は次元の裂け目に落ちて、たまたま、この異世界に入り込んだところ、ケンちゃんの『召喚』魔法に呼び寄せられたそうだ。


「アリガトウ。」「スマン。」


 俺の声とケンちゃんの声が重なる。


「いや、あのまま落下していたら確実に死んでいたから、礼をいったんだけど・・・。」


「うん・・・言いにくいんだけど、俺はヤスダを盾に使うために召喚したんだ。捨駒にするつもりだった。」


「まあ、いいじゃん。結果オーライってことで、どうしても気にするなら、ここでの生活するノウハウとか教えてよ。」


「うん、それなんだが。俺達のパーティーの一員ということでいいかな。」


「うん、右も左もわかんないし、心強いよ。それに、厄介にならないと飢え死にするしかないから、選択肢は無いな。」


・・・・・・・・


 それからは大変だった。まず、人間の居る国に連れて行って貰ったんだが、言葉が全くわからない。彼らは『翻訳』というスキルを持っているため、困っていなかったのが裏目に出た。


 しかも、彼らは、この世界の文字が日本語に読めるらしいので、一つ一つ声に出して異世界人に読み上げて貰い、彼らに意味を聞くしか勉強方法が無いのである。


 いったい、この世界の言葉が喋れて、書けるようになるまでいったい何年かかるのか。しかも、人族でも統一言語では無いというし、獣人族、妖精族はそれぞれの固有種族で固有言語を使っているらしい。


 なのに、タケシと異世界人のミラーにつきっきりで言葉を教えてもらうと1日で日常会話ができるようになり、2日目で文字がわかるようになった。

 タケシが言うには、俺が通訳という職業持ちで最大レベルまで取得しているからだと言う。大学で文字が日本語に通ずるものがあるという中国語を習ったときは1年でも2年でも全然習得できなかったのになんていうことだ。きっと、今なら1日で覚えるに違いない。あの苦労はなんだったのだろう。


 日本で英語を喋るときもそうだったが、異世界の言葉を喋る時は別人格が喋っているのを聞いているような感覚がある。


 ミラーは、この国の王女らしい。初めてこの国を歩くのに案内を頼んだら、警護の兵士がぞろぞろとついて来たからだ。


 タケシとミラーは恋仲らしく、仲良く手をつないで歩いている。タケシと警護の兵士との雰囲気が悪いこと悪いこと、タケシってそんなに誑しだったっけ?


 でも、あいつはいい奴なのだ。幼稚園から中学まで同級生だったが、ずっといじめられっこだった。実は俺も一時期いじめる側に居たこともあったのだが、そんなことを根に持ったりせず、いつも優しく接してくれる。


 だからこの世界でも真っ先に頼ってしまった。


 市場でいろんな品物の名前をきいたり、店のおばちゃんに接したり、時にはタケシと兵士の仲裁に入ったりするうちに、この世界の言葉を流暢に喋れるようになったようだ。


 特にタケシと兵士の口げんかは効果的だったようだ。普段使わないような言葉がポンポン出てくる。タケシに感謝だなこれは。

セリフが殆どない小説・・・(汗)。

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