淫夢とVR装置
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「なあ、たけし!」
「なんだ。気持ち悪いぞ、その猫なで声、なんだよ。ヒロム。」
「これ、試してみてくれないか?」
「なんだそれ?」
「魔道具の一種で、夢の中で周囲の状況が確認できるのだ。」
「へえ、便利そうだな。これがあれば、深夜に襲われそうになったときは、飛び起きて対処できそうだな。」
「え、国王なのに、襲われるのか?」
「ああ、主にミラーにな!」
「なんだ。のろけかよ。聞きたくねぇぞ。」
「いやちがう!本当に襲われるんだよ!ベッドに縛り付けられたり、殴られたり、蹴られたり。」
「まあまあ、そういうプレイなんだろ。我慢しておけよ。どうせ、タケシのことだから、その後にベッドプレイに持ち込むんだろ。」
「まあそうなんだけど。」
「否定しろよ。やっぱりのろけじゃねえか?それはな、インキュバスの『夢魔』をヒントに作ったんだよ。」
「あの戦争の際に、人族に味方してくれた?」
「そうだ。あいつが、訪ねてきて淫夢みないか?って。」
「それで見せてもらったのか?」
「いんや。そんなんハマったら怖いわ。代わりにうちのメイド達にかける権利を上げるかわりに、『淫夢』を研究させてくれって言ったら、2つ返事でOKだったわ。」
「なんだ?メイドのイヤらしい痴態を見たのか。そりゃ、羨ましいな。どんなんだった?げへへへ。」
「そうは、もう・・・・。」
「それで出来たのがこれさ。淫夢自体は複雑だったが、映像を見せるという部分だけは、簡単に解析できた。この裏をおでこにつけて寝ると反対側の映像が見れる。」
・・・・・・・
「ヒロム!居た!」
「何だ?ミラー、急いでどうしたんだ?」
「あの魔道具、作ったのヒロムだよね?」
「タケシにやったやつか?ああそうだが。どうした?」
「タケシ、いや国王が目を覚まさないんだ。」
「ああ、そうか言ってなかったな。」
・・・・・・・
「とりあえず、皆出て行ってくれるか?」
「はい。なにかあったらお呼びください。」
俺は、おもむろにタケシの前で服を脱ぎ始める。もちろん下半身もまるだしだ。
「ううーん。うううううう。はあ、はあ、はあ、はあ。なにやってんだ?お前。まさか、俺のことを襲うつもりか?」
「やっと、起きたかねぼすけめ。わりい、その道具、欠陥があって、目の前の画像を見たくないと思わないと起きれないんだわ。」
俺は、謝りながらタケシに近づき、おでこに貼った魔道具を引き剥がした。
《ぎゃー。》
「ごめん。痛かったか?わりいわりい。」
「な・なにをしているんですか?」
まずい。俺は裸だし、タケシはよっぽど痛かったのか。床に倒れこんでいる。どうやって説明すればいいんだ?どこをどうみても襲っているようにしか見えん。
この魔道具がVR用ヘッドギアとなります。