めんどうな首輪
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「もう、めんどくさいな。やめようかな?」
「ヒロム、どうしたんだい?」
「うん、元祖アルメリア教会から頼まれたんだが、魔族の隷属の首輪があるじゃない?」
「ああ、闇魔法の『支配』の補助道具ね。」
「あれの光魔法版を作ってくれって。」
「そんなことができるのかい?」
「ああ、作るのは闇魔法を裏返せば、光魔法に組み立て直せるから、簡単なんだが、教会の人間だけに使えるものがほしいと言われてな。」
「難しいのか?施錠・解錠を魔道具にして、それを教会に所有させれば、いいんじゃないか?」
「お、ナイスアシスト。そのアイデア頂き!ありがとな、タケシ。」
・・・・・・・
「なあ、ヒロム?隷属の首輪が大量に闇市場に出回っているらしいんだけど、教会の人間しか、施錠・解錠できないんだよな。」
「ああ、そうだよ。教会の人間が魔道具をしっかり管理していればな。」
「そうすると、持ち出された形跡があると?」
「持ち出せないようには作ってないしな。掌サイズの魔道具だから、比較的簡単かもな。」
・・・・・・・
「なにかわかったか?」
「ああ、引退した枢機卿が持ち出していたらしい。これは、国の管理下に奴隷を置けるように、法律を作るしかないか。めんどくさいぞ。」
「税金でも掛ければいいんじゃないか?あと、奴隷オークション会場は国営にする。国としても儲け話じゃないか?」
「でもな、売れ残った奴隷は買い上げなければ、殺されてしまうだろうし。買い上げた奴隷を遊ばせておくわけにはいかないしな。やりたくないけど、短命な鉱山夫にするしかないのかな。」
「タケシ、そういうのは嫌いだもんな。極力、死に直結するような政策はやりたがらなかったよな。」
「ああ、俺達の生まれ育った環境だけの問題なんだろうけど、そこまで冷酷になれなくてな。どうしても、精一杯助けようとしてしまうんだ。そのために大勢の人が不幸になろうともな。1国の王としては、いけないのは解っているんだが・・・。」
「まあ、謀反を起されない程度には、頑張んな。」