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デート編

 人気の少ない公園で新島修は制服姿でソワソワしながら彼女を待っていた。修は先日意中の子に告白しOKをもらった。そしてその週の土曜日つまり今日初デートだ。高校生になり初めての彼女に嬉しくて待ち合わせ時刻の40分前に付いてしまい、手持無沙汰になっていた。「待ち合わせ場所に着いたよ」と連絡すると嫌われるのではないかと思い、だただた待っていた。外気は28度ほどあり、じっとりと汗をかき始めていた。

____________________________

 石橋みゆきは朝早くから学校に来ているが、クラスでは目立たずあまり会話をしているのを見たことが無かった。それでも彼女からはかすかに気品を感じられよく見たら可愛いというタイプの女の子だった。みゆきに一目ぼれした修は意を決し朝一にみゆきに告白をした。その日の午後、彼女は学校を早退した。それが自分のせいだと思い一日中へこんでいたが、その日の晩みゆきから電話がきた。すると

『告白嬉しかったよ。私もあなたが好き。でもね、明日重要な話があるの。それを聞いてから本当に私でいいのか決めて。』

と返ってきた。重要な話は何か聞くと明日話すとはぐらかされてしまった。でも告白はOKだったことは確かだった。

____________________________


 10時50分。待ち合わせ時刻の10分前にみゆきが来た。みゆきはいつも通りのおさげに黒縁メガネだった。服は薄い青のワンピースで着飾っていた。修は自分が制服であることを申し訳なく感じてしまった。ふと胸に目をやるといつもより大きく感じた。制服の上から見る限りみゆきの胸は控えめなというか、申し訳なさそうな大きさだったが今日は少し大きく見える。ただ、胸の位置が伸びて余っておりお下がり感のある服だった。

「新島くん早いね。もしかして結構待った?」

「僕も今来たところだよ。」

そんなありきたりな会話から彼らのデートは始まった。

「今日天気晴れて」

「あそこのベンチに行きましょ。重要な話があるの。」

修の話を遮りみゆきは小走りでベンチへ向かった。デート開始してすぐに重要な話にはいるとは思っておらず。心の準備が出来ないまま修はベンチに座った。それでも格好悪い姿は見せまいと平常心を装った。

「重要な話って何?」

「絶対誰にも言わないでね。あのね…」

みゆきは俯き顔を赤らめた。

「わ、私ね、す、『好き』って思うと胸が…」

みゆきの声は最初大きかったがだんだんと声が小さくなっていき最後の方は聞こえなくなり顔を手で覆ってしまった。修は胸を見るとさっきより大きくなっていることに気付いた。修は信じられなかったが、無意識に言っていた。

「もしかして胸が大きくなるの?」

修は自分が馬鹿なことをいってしまったと思い、顔を赤らめ目をそらした。そっとみゆきを見ると顔を横に振っていたが、胸は全体的に揺れながら少しずつ大きくなっていった。

しばらく沈黙が続いた後、修が声を発した。

「大丈夫。僕は気にしないよ。」

修の顔はひきつっていて目も泳いでいたが、それでもみゆきのことが好きだし、胸が大きくなることは別に悪い気もしなかった。

「気持ち悪くない?」

みゆきの肩は震え、鼻声になっていた。顔が見えないがおそらく泣いている。

「全然。だって石橋さんのこと好きだから。」

修の一言でみゆきは泣き崩れた。人目も気にせず泣いていた。

 みゆきが泣き止んだときには昼過ぎになっていた。

「ごめんね。もう大丈夫だから。」

腫れた目をしたみゆきは立ちあがり「お昼食べに行こうよ」と修に笑顔を見せた。胸がまた大きくなっているのを見て、もっと好きになってくれたんだと感じ修は嬉しかった。

公園を出て近くのファーストフード店に入り適当なセットを選んで窓際の席に座った。

「ここでいい?まだ、顔合わせて座るの恥ずかしいから。」

外の景色を見ながら呟くように耳まで赤いみゆきは言った。修も同じ気持ちだった。面と向かって好きと言った後、自分がとても恥ずかしくなっていた。会話が始まったのは昼食を食べ終えてからだった。

「このあとどこ行く?」

「また公園でいい?あんまり人が多いところ苦手なの。」

ファーストフード店を出てさっきの公園に戻ってきた。昼過ぎでも人は数えるほどしかいなかった。彼らは散策デートをすることになった。セミの声が公園中に響き、木陰で涼みながら歩いていく。会話はほとんどない。というより何を話していいかわからなかった。

「ねぇ。」

不意に修が声をかける。

「好きだよ。」

そういうとみゆきの胸がまた大きくなっていく。最初余っていた生地は無くなりつつある。

「バカ。」

みゆきは顔を赤らめるとそっぽを向いた。

 散策デートはそこからぽつぽつと続かない会話をしている間に4時になった。

「そろそろ帰らなくちゃ。最後に一ついい?」

みゆきは修の顔をじっとみながら言った。

「最後に手を、手をつないでほしいです。」

顔を赤くしながらお願いをした。

「うん。」

修はそっとみゆきの手を取った。

「ありがとう。」

みゆきの声は消えそうなほど小さかった。ふと胸を見るとワンピースの生地が少し張っていた。デートが始まった時より好感度が上がっていると修は確認できて顔が緩んだ。

 修は浮かれながら手をつなぎ、みゆきを駅まで送った。別れ際、修の顔とは反対にみゆきは悲しそうな顔をしていた。それに修は気づき

「どうしたの?」

「ごめんね。今日は本当に楽しかった。でも私あなたを騙してるの。私の決心がついたらちゃんと話すから。本当に今日はありがとう。」

そういうとみゆきは走って改札を抜けていった。

 長編を囲うと思ったのですが、ネタが出落ち、特に展開できるような話じゃなかったので、なんとか伸ばして2話完結にしました。

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