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なにものですか

作者: はす

独り言です。


小さい頃はなんにでもなれると思ってた。

職業図鑑を見てなににしようかと選べる気持ちでいた。自分でも知らない間に線が引かれていた。これは出来るこれは出来ない。そうやって線を引くことはは簡単だった。


高校生にもなると世の中出来ない事の方が多いという現実に気付かされた。例えば、昔は医者をかっこいいと思いなりたいと思っていたが、その頃の僕は重労働やグロテスクな人体、または学力を理由に医者はないなと思っていた。進学の際に医学科に合格した人がいる事を知ったときかっこいいと思ってしまった。その時、線引きは客観的にされていたものではなく、楽な道を探している自分が勝手にしていたのかなと思った。


大学に入ってからはより何もなかった。高校では入りたい大学に入ってそこの学生になりたいと思っていた。じゃあ入ってから次はなんだ?卒業したら僕はどうなる?そんな不安がずっと付き纏った。就職活動をしても心惹かれるものは無く、なんとなくで決めている自分に驚いた。まるで他人事だった。そこからは理由の分からない涙で視界が靄がかる事が増えた。まるで自分の将来のようだと思うたびに「僕はなんだ。」と自分に問いてみる。答えは見つかっていない。きっとこれからも見つからないんだろうな。胸を張って自分は〜なんだと主張したかった。真っ直ぐな目をいつまでも持っているような実直な人間でありたかった。


逃げ道の無い迷路で不安という影と伴に過ごしていく内に自分の中の理想の姿との乖離に苦しんだ。苦しんだ先に思う。この苦しみこそが人生だったと。理想に向けて苦しみながら前を向いていた死が近付くことでそう思えるようになった。若くしてガンになり自分の死期も近いことが分かる。そうなってからの僕はなにかになりたかった自分じゃない。生まれた時から僕は僕だった。そしてそのまま死ぬんだろう。それでいいんじゃないかな。


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