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ニエ=ファンデ

童話 ニエの毒姫の物語R2

作者: リィズ・ブランディシュカ




 ニエ=ファンデ。


 毒に満ちた世界に、一人の女がいた。


 女は、その世界に存在するたった一人の生物だ。


 毒の中でも生き続ける事ができる。


 けれど、他にそんな人間はいないから。


 だから、孤独という感情に苦しんでいた。


 そのため、孤独に耐えられなかった毒姫は、誰かと触れ合うべく、人形作りを始めた。


 始めは拙かったその作業は、徐々に人間を成すまでに近づき、最終的には実物そっくりになっていった。


 出来上がったその人形は、少女の形となる。


 毒姫は、その人形にクロアディールと名付け、可愛がった。


 作られたクロアディールは、プログラムに従い、毒姫を愛し、慕った。


 それはプログラムしかない言動だったが。


 長い時間一人きりだった毒姫は、それでも幸せだった。


 しかし、毒の世界はその人形を蝕んでいく。


 無機物でさえも、侵食し、毒そうとした。


 これ以上その世界にいては、クロアディールが壊れてしまう。


 そう思った毒姫は、そのクロアディールを別の世界へ移動させる事にした。


 娘同然に思っていたクロアディールとの、別れの時がやってくる。


 毒姫は、再び長い間孤独な時を過ごす事になるが、繋いだその娘の手を離す事にした。


 我が子の幸せを願わない母親など、存在しない。


 それは毒姫も例外ではない。


 そう思って。


 毒姫はそれから人形を作る事はなくなった。


 幸福だった思い出を胸に宿して、ただ孤独な世界で生き続けている。




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