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おとぎ話/ガラスの剣   作者: 藍上おかき
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前編


お伽話 前編


「ヘンゼル! ヘンゼルはいるかい」

家事が得意のヘンゼル。

 へんぜるは、いつものように炊事、洗濯、掃除と屋敷の中をバタバタと走り回っていた時です、次女のグレーテル呼びかけられて、「はーい!」と元気よく返事を反します。

 「ヘンゼル!おなかが空いたわ!」

 グレーテルはへんぜるに小食を要求しました。

「はい、グレーテル、今ウーバーイーツにのろしをあげて注文しました。」


 ヘンゼルは屋敷の窓を開いて煙幕を焚きました。



 「ヘンゼル!このドレスもう一度洗い直して!」


 次に現れたのは三女のシンデレラです。


「ハーイ!」

 ヘンゼルはシンデレラドレスを受けと取ると直ぐに洗い直し、物干しに掛けました。


 そう、ヘンゼルはクレスト家の長女です。

 本来は長女であるずのヘンゼルがグレーテルやシンデレラにあれこれ言うのが当然なのですがこれは弱肉強食という、王子様の決めごとだったからです。

 そして!その決めごとというのが、剣技による優劣なのです。

  


そう、ヘンゼルは剣技においては全くのダメダメちゃん。オマケに包丁まで握ることが出来ない完全のダメッ子だったのです。


 そんなダメッコに下からの圧力は容赦がありません。


「ヘンゼル まだおわらないのですか!?」


 極めつけは母親です。

  若作りすれば、そこらのギャルに負けない厚化粧は化け物といっても定かではありません。


 「あらいけない。 もうこんな時間だわ。今夜は王子様がお相手するみたい、剣武会にいかなきゃだわ!」


 「そうだった、忘れてました、今日こそ予選を勝ち抜いて王子様と戦えたらたらいいなぁ!」

 と妹のシンデレラ。

「今日はどの剣が良いかしら? エクスカリバーかしら? それともエクスキャリパー? カリボーンのほうがいいかしら?」 次女のグレーテルは持っていく聖剣を選んでいます。


「ヘンゼル、二十一番の危ない水着ととイージスの盾!」

 ヘンゼルはシンデレラ愛用の危ない水着とイージスの盾を用意します。


 屋敷の中、シンデレラとグレーテルそれに母親が嵐の如くバタバタと騒ぎ立て、嵐は過ぎ去り一人屋敷に取り残されたヘンゼルは散らかった屋敷を片付けました。


 

シクシク……シクシク…。

 ヘンゼルは涙を流しながら無骨な中華包丁をズドンとまな板に振り下ろします。


黄色いカボチャがパッカリと真っ二つ。


 ヘンゼルは包丁が全く握れないというわけではありません。 

以前はカボチャを真っ二つにできないのはおろか包丁を見ただけで気絶するほどでした。


  ですが、ヘンゼルは人一倍包丁を振りつづけ、唯一長方形の無骨な中華包丁だけは握ること出来るようになったのです。


 ヘンゼルはいつものようにカボチャの垂直切りをしながら泣いていたときです。

 


 <ピロリロリーン>


 

 ヘンゼルの耳に聞いたこともない効果音が流れ、直後に

<ヘンゼルは、レベルが上がりバーチカルスクエア取得しました>

   という、わけのわからない声が耳に届きました。


 ヘンゼルは、自分の耳に直接入って来る音と声に驚くといつの間にか泣き止んでいました。


 ーーーーコロン♪ーーーー

 ヘンゼルが真っ二つにしたはずのカボチャがさらに真っ二つ。 四ツに割れて転がりました。


 ヘンゼルの思考はすでに追いついていません。


 ヘンゼルは思考を手放して夕飯の準備をしていたときです。

 チリンチリンと、ドアベルが鳴り一人しかいないはずの屋敷にウーバーイーツが到着しました。




 

ヘンゼルは荷物を受け取り、ドアを閉めたときです。


 ヘンゼルはクラクラとめまいを覚えその場にへたり込みます。


 「アリアリ~?」


 まるでお酒を飲んで酔っ払ったような状態になってました。

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