#VTuberは、コミュ障です
久しぶりの更新
【妄想放送局】天上天下唯我独尊!【甘鳥椿】
甘鳥椿『つまりたまたま集まったのがそういう話題なだけなんですよ』
???『偶然?』
甘鳥椿『偶然たまたま奇跡的にミラクルなマグレで集まりました』
???『嘘つけ』
甘鳥椿『それにあくまでも一個人の小さなコーナーなんで』
???『まぁそうだが』
???『少しでも危害を加えた時点で然るべき対処するからな』
甘鳥椿『了解です!』
「ぶぅわっはははははははは!」
コメント:笑い方w
コメント:品性の欠片もねぇw
コメント:トークの内容コピペせんでw
コメント:相手モロわかりやん
「どうッスか!これはもう許可が出たと言っても過言じゃないんッスよ!後顧の憂いなく騒ぐぞぉぉぉ!」
コメント:テンションバグっとるw
コメント:うおおおお!
コメント:なんか書いとけ
コメント:バフ
コメント:バイキルト
コメント:タルカジャ
コメント:ブースト
コメント:捨て身
「つまり!免罪符を得た今のツバキに敵はなし!さぁ早速いくッスよ!」
舎弟ネーム『ぬか漬けきゅうり』
失敗しちゃって怒られるんだけど説教の後にため息をして「次からは気をつけろよ」って言って頭撫でてくる普段しないデレを出す兄者のギャップにやられるパイセンが見たい
「どぅああああああ!やばいッスねこれ!神か!」
コメント:見てえええ!
コメント:尊死するレベル
コメント:兄スミてぇてぇ
コメント:今日のつばきちテンション二割増
「いや〜これは〜、部屋の掃除とかいいッスね!2人で片付けてて、いや、桜先輩を入れて3人ッスね。片付けしてるのに、桜先輩がふざけるから兄者先輩が若干イライラしながら掃除してるんッスよ。んで、スミスミ先輩がうっかりバケツをひっくり返しちゃったりして!なんならそれで兄者先輩がずぶ濡れになって!イライラしてるから兄者先輩はつい強めに言っちゃうんッスよ!で、落ち込んでるパイセンに優しくするツンデレ!かぁ〜、銀シャリ欲しいぃ〜」
コメント:めしうま
コメント:あまーい
コメント:ブラックコーヒーが欲しい
コメント:その後八つ当たりの姫虐までセット
コメント:全舎弟の夢
コメント:舎弟はこの活動を支援しています
「次もどんどんいくッスよ〜!」
兄者は一般人である。
配信に出たり、番組に出演したり、コラボ先に出張したりはしているが、ライバーでも企業関係者でもない。
あくまでも、1ライバーの身内なのだ。
そんな俺には仕事としてやっている企画に文句を言う資格はない。
無論、裁判沙汰になるくらい名誉毀損があったら別だが。
従って一個人を特定して攻撃するようなものにはそれ相応の武力行使をして来たが、妄想放送局に関してはマジで兄者縛りの企画じゃない。
その証拠というか、Twitterの募集要項にもその文面はない。
つまり、全てはリスナーが悪い。
ただ、悪いとは言ったが、その企画が楽しまれていて需要と供給が正しく機能しているのならばそれは立派なエンタメなのだ。
「はっはっは〜!まさか兄者先輩の方から手を繋いでくれるなんて思わなかったッスねえ!」
「今すぐ離せ。手を握るつもりはない」
「明らかに首に狙い定めてるッスよね!?」
「安心しろ、痛いのは最初だけだ」
「控えめに言って殺す気ッスか!」
P.S事務所、通路のド真ん中で俺と甘鳥は取っ組み合っている。
客観的に見てヤベェ奴の行動にしか取られないが、こいつらの普段の行いと性格を考えれば俺は明らかに被害者だ。
周りのスタッフは、あぁ巻き込まれたんだなと思ってくれることだろう。
ちなみに今この場でこうなってるのは、つい数秒前に夜斗が妄想放送局の切り抜きを見せて来たからだ。
「だっははははははは!!!」
「ヤトっち先輩!?助けてくれていいんじゃないッスか!?」
「仕方ねぇだろ!お前ら面白ぇんだから!」
「誰のせいッスか!誰の!」
「夜斗、お前もちゃんとニライカナイまで送ってやるから静かにしてろ」
「それあの世だろ!」
「ああ、ヴァルハラの方が良かったか」
「いや世界観の話じゃねぇよ!」
「でもお前の運じゃどう足掻いてもヘルヘイム行きだろ」
「魔王だしそりゃそうだろうけど!そもそも冥府に送んな!」
とりあえず二人とも折檻のデコピンLv2で悶絶してもらう。
本日も慣れたように事務所に来たのは、愚妹曰く出て欲しい番組があるらしい。
慣れたもんなの、おかしいんだよな。
「つつっ……。お、そういや兄者、今日は何すんだ?」
「詳しくは知らん」
「何でそれで呼ばれて対応出来てるのか謎ッスよね」
「まぁどれだけ放送事故になっても呼んだ方が悪いってスタンスでいるしな」
「覚悟の決まり方がおかしいなおい!」
「そういえば、スミレパイセン見かけたッスよね」
「おぉ、そういやそうだったな。コラボか?」
「いや、知らん」
「それすらなのかよ!」
音声収録を終えた二人と別れて、控え室に向かう。
コラボだとしたら、多分大部屋だろうな。
近場のスタッフに聞いて、予想通りの部屋まで歩いた。
ちなみに愚妹とは別行動中だ。
知り合いを見つけたから話してくるとかなんとか。
「こんちはー」
「「…………」」
「……え、空気悪っ」
扉を開けた先には、スミレさんと音無がいた。
四人がけの四角いテーブルの斜めに向かい合った席についている。
この二人がどんな関係なのか分からないが、明らかに気まずそうな雰囲気が部屋中に充満していた。
喧嘩でもしてたの?
「あー、お邪魔しましたー」
「ちょっと待ってくれるかな!」
速い。
俺が扉を閉めるより先に袖をがっつり掴んでいる。
この人、こんなに速く動けるのか。
妖怪は伊達じゃないな。
「兄者くんも今日、出るんだよね!」
「ええ、そうですけど」
「ならここで待っててもいいんじゃないかな!」
「いや、なんかお邪魔だったみたいですし」
「全然そんなことないよ!ね、杏ちゃん!」
「へ!え……あ、はい!」
「ほら!ね!」
なんか強引に座らされられた。
どっちかの隣を選ぶのは色々と誤解を生みそうなので、椅子を一つ移動させて二人の間に陣取る。
で、座ったはいいが、誰も何も喋らん。
答えは沈黙なのか。
冷静に考えたら、コミュ障と人見知りを混ぜたら自然とこうなるのは当然といえば当然だな。
まぁ、だからといって何かするつもりはないが。
つーかこの人ら付き合いないのかよ。
最低でも二年は同じ事務所のライバーだろ。
「……」
「あぁ、えっと、何か話そっか。ね、兄者くん」
「あぁ、そうですね」
「……。兄者くん、何か、話題を」
「好きな食べ物とかでいいんじゃないですか」
「そ、そうだね!杏ちゃんの好きな食べ物って、何かな?」
「え?いや、え?なんで俺?ドーナツとか、好きそうでしたけど」
「そうなんだ。美味しいよね、ドーナツ」
「まぁ、そうですね」
「……お、お兄さん。スミレ先輩の、その、好きな食べ物って……?」
「酒」
「あ、なるほど……」
「いや、酒は食べ物じゃないのか。唐揚げが好きだから作れるとか言ってたような」
「それは、おつまみ的な意味……とか?」
「だろうな」
「なるほど……」
「待て、なんで俺中継して会話しようとしてんの?」
「その……ね?」
「……えっと……はい……」
「え、何、初対面?」
「実は、今日初めて会ったんだよ……」
「そんなことあるのか?いや、あるのか」
「モモちゃんから話は聞いてたけど、直接会うのは初めてで……」
「あたしも、その……リアルで話したことが、なくて……その……」
VTuberの問題点にも程がある。
まぁそもそもリアルで会わなくてもコラボできるのがいい所ではあるんだろうが、こういう場になると距離感がマジで掴めないんだろうな。
まして、顔を見なければ人見知りはしない特殊な耐性のスミレさんと、配信のオンオフでキャラがほぼ別人格の音無だし。
Vとしては話せても、なんてことも起こり得るか。
にしても酷いが。
「まぁ、お互い知らん仲でもないなら別に気を遣う必要も無いんじゃないんですかね」
「そ、そういう考え方もあるかな……」
「…………」
「音無、前にコラボしたのって、実はかなり前だったりするのか?」
「えっと、最後にコラボしたのは、でも半年くらい前?」
「それからほぼ話してないのか」
「うん」
「…………」
「…………」
「…………」
……これ、会話にならねぇな。
別に俺はコミュ障でもコミュ強でもないんだが。
自分が話す分には何も問題がないが、人を話させるって、こう思うとムズいな。
コラボとかで司会進行するのがいかに凄いかよく分かる。
まぁ、VTuberとしてのスイッチが入ってるからみんな積極的に会話するってのはあるんだろうが。
「……ちょっと待って兄者くん」
「なんで急にマジトーン?」
「杏ちゃんと、仲いいのかな?」
「まぁ、ギリギリ人並みの会話できるくらいには」
「でも、タメ口だよね」
「あー、まぁ、確かにそうですね」
「私は敬語なのに?」
「一応、年上ですし」
「杏ちゃんって、私より二個上だよ!?」
「……そういえば、そうですね」
「差別だよね!」
「え、なんで俺キレられてんの」
「あ、あの……」
「はい、杏ちゃん、どうぞ」
「いつから発言が挙手制になった」
「お兄さんは、その……姉御ともタメ口、です……」
「今その発言いる?ねぇ?」
「兄者くん!?」
神様、私が何をしたと言うのでしょうか?
元聖女現酒豪に責められてる理由が知りたい。
高めの酒でも献上しろということだろうか。
「姉御に関しては敬語いらないと言われたんで」
「私も前に言ったことあるよ」
「いや、だから年上ですし」
「姉御も杏ちゃんも年上だよ」
「この人こんなレスバ強かったか?」
「兄者くん」
「あ、はい」
「私のことが嫌いなのかな?」
「その質問どう答えても詰むんですが」
あと圧が凄い。
これが狂った業界の中でも狂人集団として第一線を駆け抜け続けているP.S一期生か。
そら強いわ。
字面と設定だけで満腹だし。
ヘルプの意を含んで視線を向けたが、音無は首元のヘッドホンに両手を添えながらビクビクしている。
うん、今すぐ耳塞ぎたいわな。
俺もです。
スミレ先輩なんか今日怖いもん。
「基本的に、敬語は相手を敬う為に使うんですよ」
「でも兄者くんに私を敬ってる感じないよ」
「いやいや、最低限の敬意はありますよ。何せ先輩ですし」
「兄者くんは、私の後輩じゃないよ?」
「立場的には愚妹の配信に使うアイテムみたいなもんなので、実質二期生と言っても過言じゃないです」
「それは過言じゃないかな!?」
「つまり音無は同期みたいなものなので敬語無しでも不思議はないです」
「うぅ……なら、夜斗くんとか桃ちゃんはなんでタメ口なのかな」
「アイツらに敬意ないですから。姉御には喧嘩売られましたし、夜斗は夜斗ですし」
「うぅぅぅ……」
「……夜斗先輩は……それでいいんだ……」
なんかボソッっと聞こえた気がしたが、それでいいのだ。
あいつバカボンというかバカだもん。
まぁ、ウチの愚妹には負けるけどな。はっはー。
頭の回転は速いんだけどな夜斗。
如何せん常識力がな。
それ言い出したらVの大半がそうな気もするけども。
「なら……」
「はい」
「私も喧嘩を売ればいいんだね!」
「安心できるくらい馬鹿な結論出てきたな」
「……あ、タメ口……?」
「え?あ、タメ口だ!」
「そうですね」
「戻ってるけど!?」
「さっきのはツッコミなんで」
「どういうルールなのかな!?」
「ツッコミは無礼講です」
「初めて聞いたよ」
「まぁそういうことなんで」
「じゃあ、ボケたら敬語を無くしてくれるんだ」
「多分意識しなくても定期的にタメ口になりますよ」
ようやくいつもの天然に戻った。
親しき仲にも礼儀ありとも言うしな。
そうなると音無はどうなの問題がまた浮上しかねんけども。
あれだ。
姉御と音無は親しくないから礼儀ないってことで。
それも残酷では?
八重咲のせいで音無とはほぼ毎週会ってるし。
どうしよう、どうやっても俺が最低みたいになる。
まぁぶっちゃけ、スミレさんとはある程度のところで線を引いとかないと配信業に影響が出かねないからな。
主に一部のガチ恋勢あたりが騒ぎかねん。
それ以上にネタになりそうでもあるが。
「……というか、音無はスミレさんに敬語なのか」
「あ、えっと……配信だと、普通に、タメ口」
「なぜカタコト。まぁ、話したことない訳じゃないなら普通に話してもいいんじゃないか」
「あ、うん……」
「…………」
「スミレさん?」
「うん」
「話しません?」
「何を?」
「いや聞かれても」
てか、結局なんの問題も解決してねぇな。
この人らどうしよう。
「みんなおはる〜!」
「「「…………」」」
「え、空気わる」
流石愚妹、ノックという概念すらない。
しかしここでの登場はありがたい。
何せこと全ステをコミュ力と運に振り切ってるバカだからな。
極度のコミュ障二人を相手にしてもおつりが来る。
「よく来たな。人生で初めてお前を歓迎してる」
「よくわかんないけど〜兄者、なんかしたの〜?めっちゃ空気重いんだけど〜」
「それはお前が空気読めてないだけだ。じゃ、あとはよろ」
「ちょ、兄者〜!?」
さっさと部屋を出た。
時間つぶしに喫茶店でもいこうか。
数分後には愚妹の座談会が始まってることだろう。
その後、何故か案件動画の進行役をやらされた。
P.Sがまともに案件を貰えるようになったあたり、彼らが成長したのか世界が衰退したのか。
音無と愚妹は地上波に出た経歴があるし、スミレさんも世間一般的な設定では清楚枠だしな。
ソシャゲの案件に出ても不思議はない。
あまりにも自然にやらされて誰も気付いていないと思うが、俺が案件動画に出てるのはおかしいよな。
ギャラもないのにな。
そろそろ愚妹の付属品設定、きつくないか?
帰り道。
国道を車で突っ走る。
「そういや、あの後どうだった」
「あ〜、楽屋〜?」
「おお」
「めっちゃ盛り上がった〜」
「何したらそうなる」
「兄者の愚痴言い合った〜」
「スーパー寄るぞ。今日カレーでいいか?」
「いえ〜い!カレー!あ、牛がいい〜」
「高ぇからブタだ」
「ちぇ〜」
ブート・ジョロキア売ってるといいな♪