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ピンクの女の子に

それでも時間は流れて、私は27歳になった。

パティシエになり普通に楽しく過ごしている。

ただ、心の穴はあいたまま。


「おはよう〜。幸子。きいてよ。」


「おはよう。舞。どうしたの?」


会社更衣室で着替えていると同期の舞が入ってきた。私とは違って明るくて可愛くて髪もツヤツヤ。オーラは少し濁ったピンクって感じだ。見えるわけじゃないけど。

舞は見た目通りモテるし、彼氏がたえない。今の彼氏は、どっかのレストランのシェフらしい。そのお店の定休日が木曜日だからと言って、最近は毎週木曜日固定で休んでいる。前は火曜日だった。少し恋愛体質だけれど、素直でいい子で私は嫌いじゃない。


私達は、更衣室で真っ白なコックコートに着替えながら、たわいもない話をするのが毎朝の日課だ。ちなみに今日は例の彼氏の愚痴だった。舞は、私が体験した事のない話を沢山してくれるからこの時間が結構好きだったりする。


舞が髪の毛を手でまとめて、右の八重歯で噛んでいた黒いゴムを右手で取りながら言う。


「てかさ、今日の朝礼だるくない?」


毎週水曜日は製造全体の朝礼がある。舞はこれが嫌いらしい。だいたい料理長が長々と謎の話をして終わる。学生の頃の校長先生の話のようなもの。私も好きじゃない。

続けて舞が言った。


「長い話聞くためにパティシエになったんじゃないっつーの。」


「まあまあ。でも、今日は新しい人来るらしいじゃん?楽しみじゃない??」


「まあね。かっこいいといいね。幸子の未来の彼氏になったりして。」


「ないって。ほら、職場恋愛とかしないし」


「えー。」


ロッカーについている20センチ×10センチの鏡で身だしなみを確認して扉を閉め、胸のポケットに鍵をしまった。


舞はすぐ恋愛にもっていく。職場恋愛どころか、亮太以来、好きな人すらできたことがないのに。


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