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ブラッディ・パラノイア  作者: ふぴろう
3/3

殺意

暗闇の中、気配を探る。

あちらには俺の姿が見えているはずだ。


相手の正確な位置も分からぬまま突き進むのは愚の骨頂だと、分かっていた。


無防備にさらされた喉をめがけて、鈍い光が襲いかかってくる。


――ようやく姿を現したな。


月光に煌めく刀を素早く剣の腹で弾き上げ、ぽっかりと空いた相手の胸に、思いきり突きこんだ。

しかし剣先が肉に突き刺さる刹那、ぐい、と腕ごと受け流されていた。


伸びきった腕に、刀が大蛇のようにせまるのを見て、俺は後ろに跳びすさった。


刀の主は、白装束の若い男だ。


一拍おいて、刃が互いの喉をめがけて交差した……瞬間、半歩、前に出る。

それとともに首元で熱い痛みが爆発する。


それに構わず、勢いよく剣を振り上げた。


「が、ぼ」


白装束が顔から血を吹き出しながらよろける。

俺は、その腹に剣を深々と突き立てた。



肉塊となった体に足をかけ、剣を抜く。


「はぁ、はぁ」


自分の首元から、どくどくと血が溢れる。

痛みに視界が揺れ、思わず膝をつく。


「ーーぐ」


すぐに、女に治癒を――


痛みに焼かれる脳を無理やり働かせるが、体が思うように動かない。

と、喉元に奇妙な違和感を覚える。


業火のごとき痛みが和らいでいく――

女が治癒を発動していた。


ほぅ、と息が漏れる。

どちらのものかは分からない。



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