表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シンデレラになった化け物は灰かぶりの道を歩む  作者: ジルコ
第四章 シンデレラになった化け物は聖女と相対する
89/118

第81話 学園への入学

 今日はいよいよ学園の入園式がある日だ。王都にあるスカーレット家の別邸に用意された私室で学園の制服へと袖を通す。スカーレット領の者であることを示す赤いブレザーに白いシャツ、そして青と黄色で模様の描かれたネクタイを締め、赤白のチェックの柄のプリーツスカートを履けば着替えは完了だ。

 いつもクリスが着ているところを見ていたが改めて自分が着るとなるとだいぶ印象が違うな。クリスが着た時は年相応かそれよりも上のように感じられたはずだが私が着るとどこか幼く見える。まあ身長も低いから仕方がないが。


 学園の制服は4種類あり、それぞれ赤、青、黄、白と言うそれぞれの領を現す色を基調としたものになっている。その領の出身者であることを誇りに切磋琢磨することを期待されてそうなったらしいが、私としては見分けが簡単について楽だという意識しかない。

 ちなみに制服を改造することは特に禁止されていない。と言うより改造することを前提にシンプルなデザインになっているようだが私の制服そのままだ。と言うより私のサイズに合う物は無いので既に特注品だしな。クリスには勧められたが特に必要性を感じなかったので断っておいた。


「お嬢様、よろしいですか?」

「んっ、アレックスか。別に良いぞ」


 ノックの音と共にアレックスの声が聞こえてきたので入室を許可する。入ってきたアレックスは白を基調にした制服を着ている。少し改造して赤を多く入れているようだがな。クリスに仕えているとはいえ立場上アレックスは王家直属の名誉男爵だからな。逆に赤を基調にしてしまってはまずい。


「お似合いですよ」

「そうか。アレックスも似合っているぞ。私の後ろをちょこちょこ着いて回っていたアレックスがここまで大きくなるとはな」

「ちょっと、いつの話をしているんですか!」


 焦ったように声を上げるアレックスの様子に笑みを浮かべる。生まれた時から一緒に過ごし、ここまでずっと着いてきてくれたアレックス。私の事情を説明した訳でもない。理不尽なことも命じたこともあるし、私について行った結果命の危機にさらされたこともある。

 それでも文句ひとつ言わずにアレックスはそばに居てくれた。


「ありがとうな」

「えっ?」

「私が一番信頼しているのはお前だ。学園でも色々なことが起こるだろう。だが私達2人ならクリスを守れるはずだ。いや守りきらなければならない。これからも頼むぞ」

「は、はい!」


 アレックスが目を潤ませ、そして取り出したハンカチで軽く拭った。そして私に最高の笑顔を見せてくれた。大丈夫だ。アレックスとなら出来る。あの聖女という名の悪魔にさえ勝てるはずだ。





「……カラトリア学園の生徒として互いに高め合い、この国へ貢献できる人物へと成長することをここに誓い、入園の挨拶とさせていただきます。カラトリア王国第3王子レオンハルト・モルガン・オウル・ホワイト」


 入園式では各領の代表者による新入生の言葉があるため当然のごとくスカーレット領の代表者としてクリスは壇上で座っている。今まで6度の入園式ではあちら側からの風景しか見たことがなかったのである意味新鮮だな。


 クリスの堂々としていて見事な挨拶をしっかりと聞き終え、最後の新入生代表の挨拶をレオンハルトがするのを適当に聞き流しながら視線で目的の人物を探す。先の戦争で犠牲になるはずだった者が生きていたりするため、学園では見覚えのあまりない者やいたはずの顔が見えないなんてことはあるがそんなことは瑣末ごとだ。

 それよりも……


「いたな」


 視線の先に青い制服を身にまとった見覚えのある金髪を見つける。優しげなタレ目を微笑ませながら壇上のレオンハルトへと惜しみない拍手を送る悪魔。あの聖女という仮面の奥に性悪な女狐の本体を隠したあの女を。


「フロウラ、今回ばかりはお前の思い通りにはさせん。この身に変えようとも」


 視線に殺気が乗ってしまわないように苦労しながら私は微笑む悪魔を眺め続けた。





「なに、この悪寒」


 言葉に表すこともできないほどの、身体の芯から凍りついてしまったかのようなそれにフロウラが思わず体をぶるっと震わせる。

 入園式の最中に何か特別なことが起こるはずはない。そうわかっているはずなのにフロウラの心が晴れることはなかった。


「万事うまくやらないと」


 誰にもわからないような小さな声で呟いたフロウラは終始襲ってくる悪寒に苦労しながらも、なんとかその微笑みを崩さぬまま入園式を過ごしていった。

この後書きは本編のイメージを壊す恐れがあります。そういう事が嫌いな方は飛ばして下さい。


【お嬢様と従者による華麗なる後書き】


(╹ω╹) 「ついに名前が判明しましたね」

(●人●) 「んっ? あぁ、性悪クズ女のことか」

(╹ω╹) 「ひどい言われようですね」

(●人●) 「なにせ幼馴染から男を奪おうとする奴だからな」

(╹ω╹) 「そう言われると確かにそうですけど」

(●人●) 「当然私はビア○カ派だ!」

(╹ω╹) 「なんの話ですか!?」

(●人●) 「ちなみに作者は二人の美女に迫られるってハーレムかよって毒づいたらしいぞ」

(╹ω╹) 「危険すぎますって!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
わりとゆるゆるな現代ダンジョンマスター物です。殺伐とはほぼ縁のないボケとツッコミのあるダンジョンの日常を描いています。

「攻略できない初心者ダンジョン」
https://ncode.syosetu.com/n4296fq/

少しでも気になった方は読んでみてください。

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ